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長時間労働を余儀なくした3つの要因

 今振り返って思うと、IT化で効率化する一方で、仕事量を増やし長時間労働を余儀なくさせる次の3つの要因があった。

 1つ目はグローバル化。平日であれば、世界中のどこかの支店や工場は稼働している。本社としての海外拠点のサポートやオペレーション業務は無限にある。わかりやすい例でいうと、米国と仕事が始まると時差が昼夜逆転しているので、直接電話で話すとなると早朝か深夜でなければコンタクトできない。メールだけで仕事が進んでいけばいいが、そんなにすんなりいくことはまずない。だからどう考えても役職にかかわらず長時間働かざるを得ない状況に追い込まれる。

写真はイメージです ©アフロ

 2つ目は、残業規制。以前はタイムカード管理でゆるやかで弾力的に運用していたが、IDカードで入退場時にスリットするコンピューター管理方式に変更になったことで、融通がきかなくなった。たとえば繁忙期の残業時間の一部を閑散期に回すということができなくなった。

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 これによって何が起こるかというと労働基準法の範囲内で仕事が片付かなくなる。それではどうするのか、答えは残業規制のない管理職があふれた仕事を引き取って深夜か休日にこなすしかない。

 3つ目は、部下との対話重視。昔は上下関係が絶対的なもので上意下達が当たり前だった。だから課長が言ったことは絶対で、問答無用でつべこべ言わずにがむしゃらにやるしかなかった。だがいつの間にか、目的や理由をしっかり部下に説明して納得してやってもらうように世の中が変わった。部下との面談も必ずやるようになった。これは良い方向に変わったわけだが、上司にしてみれば、今までやっていなかったことに時間をかけてやるわけで負担は増える。

 さらには、ネットで何でも調べられる時代になって、上司の過去の経験がいとも簡単にネットで検索されてしまうようなご時世になってしまった。だから経験年数が長い管理職だからといって威厳を振りかざすようなことはできなくなった。私が新入社員だった30年前と比べると今の中間管理職は、より過酷な労働環境に置かれていると言って間違いないだろう。電通の新入社員の過労死が話題になったが、平社員もキツイが管理職も相当厳しい労働環境にあるはずだ。