アダルトメディア研究家の安田理央さんがSNSで「推し『ビジネス』の終焉」という表現を使っておられ、我が意を得たりで膝を打ちまして。ほんと、そんな感じなんですよ。
一連のジャニーズ関連だけでなく頂き女子やホスト刺傷などのホスト規制ネタに加えて、ちょっと前までのアイドルビジネスで秋元康さんが持ち上げられてきてやがて廃れたプロセスなどを見ても、やはりコト消費的な推しビジネスは乱獲の果てに終わり始めているんじゃないのかなあと思うわけです。
推しビジネスの罪
ゲーム業界の仕事をしていると、推しビジネス問題とはどうしても向き合わざるを得ず、その中でも一時期ソーシャルゲームが興隆し、あまりの利益率の高さに各社こぞって参入した経緯を思い出します。たかが1枚のイラストで好きなキャラクターが出るからと言って、低確率のガチャ10回回すのに3,000円という法外に高額のサービスを複数回回すことがゲーム収益の根幹となっていたわけですよ。
いわゆる「ダークパターン」と呼ばれる、あたかもカネを突っ込めば望みのキャラクターが出るかのように偽装し、資金を突っ込ませる仕組みは、確かに当たればべらぼうに利益をもたらすけれど、正気を失ったユーザーの側からすると「騙された」と気づいて冷めたころには膨大に突っ込んだカネと、飽きたらゴミにしかならないイラストなどデジタルデータしか残らないという。
結局、それに気づいたお客さんは、散財してしまった苦い思い出を抱いた結果、単にそのゲームを辞めるだけでなくソーシャルゲームという市場そのものから退出してしまいかねないわけですね。
そして、大事なのは「推し」と「推し『ビジネス』」は異なる概念だということです。誰かが疑似恋愛的に、誰かや何かを推すことは自由でも、それをビジネスにしてそういう構造、ビジネスモデルにし、高収益を実現するのは時として大変な悪になります。
消費者に強いる「推しは推せるときに推せ!」
ソシャゲ業界と同じようなことは、一般的にもたくさん起きます。私の身の回りにも多いアイドルオタクの連中が、女性アイドルやタレント、女性声優の交際報道や結婚が報じられるたび、裏切られたと怒り、それまでつぎ込んできた金額を思い返して悲しみ、部屋中に積まれたグッズの類を泣きながらゴミ袋に入れる定番の仕草が思い返されます。以前は、AKB商法と言われて握手券欲しさに大量のCD、DVDを買い込み、段ボール箱に入りきらないぐらい買い集めた人もいました。
「馬鹿だなあ」と揶揄するのは簡単なんですが、ハマっている期間、本当に応援に集中している人に「おまえ、それ何の意味があるの」と水を掛けるのもよろしくないわけで、そこはまあ自己責任でお願いします、ということになるんですよ。