休暇シーズンの高速道路では、しばしば「挙動のおかしな車」に出くわすことがある。

 後ろの車列に構わず追い越し車線をのんびり塞ぎつづける車、やたらとブレーキランプを光らせる車、ジグザグ車線変更を繰り返す車……後続車のブレーキを誘発するこれらの動きは、「渋滞の原因」と指摘されることも多い。

 実際のところ、個人の運転はどれほど渋滞に影響しているのだろうか。「渋滞の原因になる運転」について、道路交通関連の資料をもとに考えてみたい。

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写真:show999/イメージマート

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渋滞の4割以上は「上り坂での速度低下」から生じる

「高速道路の渋滞の原因」としてまず思い浮かぶのは、事故や故障車、インターチェンジ付近の混雑かもしれない。しかし意外なことに、渋滞の原因としてもっとも多いのは「上り坂での速度低下」である。

 NEXCO東日本の発表によれば、2023年中に同社管内で発生した渋滞のうち、事故や工事などに起因しない「自然渋滞(交通集中)」は70%を占める。さらに自然渋滞の約60%が「上り坂・サグ部」で起きており、これは全体の40%以上になる計算だ。

「サグ部」とは道路の傾斜が下りから上りへと切り替わるポイントのことで、こうした箇所では「上り坂なのに平坦に見える」といった錯覚が起きやすい。その結果、傾斜の変化に気づかないまま速度を落としてしまうドライバーが続出し、速度低下が後続車両にも連鎖していくことで、しだいに渋滞が始まっていくわけである。

 とりわけ景色の変化に乏しく、漫然運転に陥りがちな高速道路においては、運転に慣れたドライバーでも傾斜の変化を読み違えることがある。渋滞多発地点のサグ部には、「速度低下に注意」といった標識が掲示されているので、こうした目印を見落とさずに速度をキープしていきたい。

 あるいは、自動的に車速や車間距離を保つACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)を搭載した車両であれば、それを積極的に使っていくのもよいだろう。疲労を軽減するうえでも、便利な機能はどんどん使っていきたいところだ。

「合流が苦手」なドライバーほど事前の加速を十分に

 先のNEXCO東日本のデータを見ると、自然渋滞のうち3割近くは「インターチェンジ」や「接続道路」から生じていることがわかる。とくに合流部付近では、ペースの異なる車が交錯することにより、ブレーキの連鎖が起きやすい。

 合流部において減速が生じる典型的な状況は、合流車線の車がギリギリのタイミングで本線車両の前に割り込むケースだろう。とくに一般道から入ってきたばかりの車は、本線の走行ペースにまだ目が慣れておらず、距離感を見誤る可能性もある。

 運転に慣れていないドライバーや、合流に苦手意識のあるドライバーは、まず合流車線でしっかりと速度を上げておくことを意識したい。本線を走る車と近い速度まで上げながら、「この車の後ろに入ろう」と狙いを定めておけば、合流のタイミングも掴みやすくなる。