「合流ポイント手前の車線変更」が渋滞の一因に

 さらに合流部においては、自身が本線を走行しているときの動きにも注意したい。

 あらかじめ右車線に入って合流車両のスペースを空けておけば、たしかに合流時の減速は防げるだろう。しかし一方で、合流部前後においては右側の車線に車両が集中し、それが渋滞を引き起こすこともある。

 実際に、合流部における渋滞の要因としてNEXCO東日本が挙げているのは「右車線への車両集中」である。「左車線は合流で遅くなるから」と、さまざまなペースの車両が右側に集中した結果、遅い車両の後ろに車群が形成され、しだいにブレーキの連鎖が引き起こされていく。

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 空いている状況では有効な「合流ポイント手前の車線変更」だが、右側に何台も車両がいるようであれば、基本的にキープレフトが望ましいだろう。車線を移すにしても、右側の混雑状況や走行ペースについて十分に確認する必要がある。

渋滞は「一番右の車線」から始まる

 合流ポイント以外でも、追い越し車線を走りつづけることそのものが、間接的に渋滞を引き起こすこともある。

 一般に、高速道路上では右側の車線ほど交通量が増え、また速度に比して車間距離も短くなる傾向にあるため、どうしてもブレーキが踏まれやすくなる。ちょっとしたブレーキが次々に連鎖し、大きな減速を引き起こしていくことから、自然渋滞の多くは一番右側の車線から発生すると言われるのだ。

 そのため、ゆっくり追い越し車線を走りつづけることはもちろんNGだが、そもそも車が連なった状態で右側の車線をキープすること自体が「渋滞が生まれやすい状況」を作っていることになる。

 反対に、多くのドライバーが走行車線を積極的に利用することで、車線ごとのバランスが改善し、混雑も緩和していくと期待できる。実際に、NEXCO東日本が東北道(上り)の佐野藤岡IC~館林ICにおいて実施した実験では、LED標識などで走行車線の利用を促進した結果、車線ごとの利用率が平準化され、渋滞時間や渋滞長が軽減される効果が確認された。

 なお、あまり意識されないが、道交法上でも追い越し車線を走りつづけることは「通行帯違反」にあたる。追い越しが必要な状況以外は走行車線をキープし、追い越し後にはすみやかにもとの車線に戻ることが、法令遵守の面でも望ましい。

「車間ベッタリの車」がさまざまな混乱を引き起こす

 渋滞の原因を考えるうえで、もっとも重要なファクターは車間距離かもしれない。車間距離を十分に確保していれば、不要なブレーキを踏まずに済むし、周囲の状況も見通しやすくなるからだ。

 反対に、短すぎる車間距離はブレーキの原因になるばかりか、追突事故などのリスクを引き上げることにもなる。