なぜ川内はブレットさんと組んで勝てたのか?
そんな彼の思いに、川内の思いが共鳴した。川内はブレットさんを代理人として、世界へと挑みはじめるんです。ブレットさんはオタクですから、世界中のレースを知り尽くしています。開催時期の気候やコース設定などから川内に合うレースを見極め、どんどんコーディネートして、川内を世界中に派遣した。マラソンは気象条件などに大きく左右される競技です。ということはレースに出続けていれば、自分の走りや体調にハマるレースに出会える確率は高くなるということなんです。
日本の選手のほとんどは、年1~2回しか大会に出場しないですからね。「世界3大ロードレースを知ってるか? フルマラソンはボストン・マラソン、ウルトラマラソンはコムラッズマラソン、そして箱根駅伝だ。ただ、箱根駅伝のことは世界は知らないんだけどね(笑)」と以前から常々、ブレットさんはおっしゃってました。彼の究極の夢はボストンを制覇することでもあったのです。そして、ついにその時がやってきたのです。
— Japan Running News (@JRNHeadlines) 2018年4月18日
ボストンの解説者は「クレイジーだ」と大爆笑
今年のボストンマラソンは気温も低くて、強風が吹いている最悪のレースコンディションでしたが、もともと箱根駅伝でも極寒の箱根を下る6区を走り、寒さに強い川内にはぴったりのレースでした。悪天候によりタイムが出ないことは明白。勝つためのレース運びを選手たちは考えます。そこで多くの選手はラストスパートに勝負をかけるため、体力を温存する方法を選びます。ところが川内はそれを崩すため最初から飛び出した。その瞬間、テレビ解説者は「目立ちたいのか? クレイジーだ! すぐにへたっちゃうよ」と大爆笑。それほどあり得ない戦略でしたが、あの気候にぴたりとハマって、優勝につながったんです。
特別なトレーナーがいたわけじゃない。陸上オタクのカナダ人と、マラソンオタクの市民ランナーがタッグを組んで、ボストンマラソン優勝を勝ち取った。今後、川内は、ボストンマラソン優勝者として、世界中どの大会にも出られるはずです。
#TogetherForward #BostonMarathon pic.twitter.com/3fg8k3sUzz
— Japan Running News (@JRNHeadlines) 2018年4月16日
EKIDEN Newsも、ブレットさんも、川内も、最初の頃は「何者?」というキワモノ的な扱いを受けて来ました。それがオタク魂でここまでのし上がってきた。やり続けることって素晴らしい!と、ゴールシーンを見て目頭が熱くなりました。
川内選手には当然ですが、ブレットさんにも「おめでとう!」と伝えたいですね。
ちなみにブレットさん、「ブレッ“ド”さん」と呼ぶと「パンじゃないよ!」と怒りだしますので、くれぐれも「ブレッ“ト”さん」と呼ぶようにご注意ください。
