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「疲れがとれてスッキリ」の正体

しかし、脳にも許容量があります。かりに朝出社したときの体験と行動だけでも、すべての記憶を残していたら、あっという間に情報過多になってしまいます。

睡眠中は、脳の中にできた、たこの足のように絡み合った配線のなかから、重要度の低いコンセントを抜く、優先すべきコンセントを残すような作業が行なわれています。たこ足配線を解消し、より効率の良いつなぎ方に直しているのです。

つまりは、覚醒時のおびただしい量の情報から、自分にとって大事な情報であるかどうかを選別し、処理して、長期的な記憶として植え付けるための作業です。

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ぐっすり眠れたあとは、疲れがとれてスッキリした気分になりますが、情報過多になった頭をリセットするのに、睡眠が大きな役割を果たしているのです。

脳には老廃物を排出する組織がほとんどない

体内では、酸素や栄養をエネルギーに代謝することで、日々たくさんの老廃物が出ます。この老廃物は、主に血管とリンパ組織を使って、便や尿、汗となり外に排出されます。

脳は、体重の2〜2.5%の重さしかありませんが、食べ物から取り入れたエネルギーの25%も脳で消費しているため、多くの老廃物が出ます。ところが、脳は血流こそ豊富ですが、ゴミを排出するためのリンパ組織がほとんどありません。

そのため脳の老廃物は「脳脊髄液」が除去しています。この脳脊髄液は、脳の機能の調節に大きく関わっているので、起きているときに老廃物を洗い流すことはできません。

2013年の米ロチェスター大学の研究チームがマウスを使った実験をご紹介します。実験では、脳の神経細胞以外の組織である「グリア細胞」が、血液の周囲に脳脊髄液を循環させる水路(血管周囲腔)をつくって、脳細胞への栄養供給と老廃物の排出を行なう「グリンパティックシステム」というシステムの存在を示しました。

さらに研究チームは、脳脊髄液は起きているときは脳内にあまり流入せず、ノンレム睡眠中に脳内に広がり、老廃物を洗い流していることを報告しました。睡眠中に、脳脊髄液が脳内の細胞のすき間に流れ込んで、老廃物を洗い流す仕組みを明らかにしたのです。