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睡眠と覚醒は、シーソーにたとえられることがあります。オレキシンは、このシーソーにおいて、覚醒側に大きく傾けるように強くサポートしています。

気持ちの高ぶりは、オレキシンをつくる神経細胞を活発にさせます。それが覚醒を生むのです。

また、ストレスや不安があると、自律神経のなかでも、アクティブモードの交感神経が活性化し、ストレスホルモンが分泌します。それによって、オレキシンをつくる神経細胞が興奮することから眠れなくなるのです。

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空腹で目が冴えるのに、満腹になると眠くなってしまう理由

ちなみに、空腹で目がさえて眠れなくなったり、満腹で眠くなったりするのも、オレキシンが関わっています。空腹で、血糖値が下がると、オレキシンをつくる神経細胞が活発になり、睡眠と覚醒のシーソーが、目が覚めた状態を維持しようと覚醒側に傾くのです。

一方、食事のあとは、血中の糖分(血糖値)が上がります。その結果、オレキシンをつくる神経細胞を抑制するので、眠くなります。

覚醒と睡眠は、モチベーションや情動、ストレスだけでなく、栄養状態によっても大きく左右されるのです。

このように、不安やストレスがあって寝つけなくなるのは当たり前のことです。眠れないことを悩まずに、不安やストレスを軽減することに目を向けてみてください。

「最低7時間は睡眠をとる」は嘘

睡眠には個人差や年齢差があり、1人ひとりで最適な時間が異なります。

では、自分にとって最適な睡眠時間はどれくらいでしょうか?

1982年、アメリカの100万人以上を対象にした調査では、6.5〜7.4時間睡眠の死亡危険率がもっとも低いことが示されました。この調査結果を受けて、睡眠時間は7時間前後がベストだという考えが根強く浸透しています。

しかし、調査対象者が30〜102歳の男女と幅広く、睡眠時間もベッドでゴロゴロする時間も含まれている可能性が高いので、正確性に欠けています。つまり、30歳以上の人が、病気をしないで寿命を延ばすのに、一番良い睡眠時間は7時間前後かもしれない、と考えるべきです。