はっきりいってモラルを期待できない
そして、肝心のエクスペリエンスもなんだか妙に似たようなものが多い。
たとえば、『Roblox』の定番エクスペリエンスのひとつに「太った刑務官から逃げて脱獄する」ものがあるのだが、これを1回遊ぶとキャラクターを差し替えただけのものが無限におすすめされるようになる。
差し替えたキャラクターも明らかに問題があるケースが多く、元の脱獄ゲームを改善することもなく、むしろ有料アイテム販売箇所を詰め込みまくって改悪している始末だ。
はっきりいってモラルを期待できないのである。
『Roblox』でエクスペリエンスを制作する大手スタジオは、「体験ごとに用意された、特別かつ複雑な操作方法を学ぶ時間や忍耐を期待しないほうがよい」とまで明言している。つまり、ユーザーは学習しないし忍耐もないので、どこかで見たようなものがよいとされると認めているわけだ。もちろん『Roblox』内でもイノベーションは起こるのだが、似たようなエクスペリエンスが山ほどあるのも事実である。
このように『Roblox』では模倣ばかりの状況が広がっている。まだゲーム経験の少ない子供ならそれらを楽しめるかもしれないが、「親としては」すぐに慣れて飽きてしまう。
また、マイクロトランザクション、つまり少額の課金アイテムが無数にあるのも悩みの種だ。しばらくプレイしていると一定の間隔で有料アイテムを勧めてくるケースや、失敗するたびにアイテムの購入を促すケースもある。
なかにはプレイ中の全員を殺す核爆弾が有料販売されていたりと、「親としては」好ましくない課金要素が目立つ。
そして、単純に作る人が多いので不快になるエクスペリエンスと出会うことも少なくない。エクスペリエンスを終了しようとすると大音量で警告音が鳴ったり、場合によってはそもそもエクスペリエンスから退出させないような仕組みが用意されていたりする。
制作者側としてはエクスペリエンスに長く滞在させるメリットがあるようで、方法を問わないこともあるわけだ。そして、モラルに差はあれど、どのエクスペリエンスもプレイヤーを拘束しようとする。