「小銭を乞う」子供たち

 筆者はまだ『Roblox』経験が浅いものの、それでも衝撃的だったエピソードがふたつある。ひとつは、本物より偽物のほうが盛り上がっているケースだ。

『エスケープドラえもんオビー』の様子。“パチモノ”という言葉がぴったりの世界に仕上がっているが、制作者が『ドラえもん』を好きなのはわかる。画像は『Roblox』よりキャプチャー

『Roblox』には『ドラえもん のび太のゴーゴーライド!』というエクスペリエンスがあり、これは公式のものである。しかし、明らかな偽物である『エスケープドラえもんオビー』のほうが累計訪問者数もアクティブ数も多い。

『ドラえもん のび太のゴーゴーライド!』は『Roblox』の文脈をあまり理解していないようで、カートレースゲームというそこまで流行っていないと思われるジャンルを選択しているうえ、チュートリアルを丁寧に作ってしまっている(むしろ丁寧な説明はないほうがよい土壌なのである)。

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 そして、偽物である『エスケープドラえもんオビー』は、『Roblox』の定番ジャンルであるObby(障害物競走の略、いわゆるアクションゲームに該当する)を採用。エクスペリエンス内の仕掛けもベタなものを採用しており、場に沿った作りになっている。

 驚いたエピソードのふたつめは、海外の掲示板で「こじきシミュレーター」と揶揄されていたエクスペリエンス『PLZ DONATE』があったことだ。

『PLS DONATE』。お金を稼げるエクスペリエンスだが、やはり稼ぐのは楽ではないようだ。画像は『Roblox』よりキャプチャー

『PLS DONATE』は、端的にいえばほかのユーザーに有料通貨「ロバックス」を乞うエクスペリエンスである。リリースは2022年だが、2025年1月現在も人気を誇っておりランキング上位に位置している。余談になるが、ロバックスは現金に換えることも可能だ(換金は一定額以上で身分証明などの条件もある)。