「寄付しないとあなたは不幸になります」
内容はシンプル。看板を立てて、ほかのユーザーからロバックスが寄付されるのを待つだけである。「毎年クリスマスプレゼントがもらえていないので寄付してください!」だとか「寄付しないとあなたは不幸になります」だとか「ガンになったのであなたのロバックスで助けてください」などと書かれた看板が並んでいるのだ。
もちろん何もせず寄付してくれる奇特な人はそういないので、ユーザー同士でうまくコミュニケーションをとって寄付をもらい受けるようだ。やたらと回転する芸を見せたり、寄付のお礼に絵を描くユーザーもいた。
「親としては」、自分の子供がこういったものに若くて貴重な時間を溶かすのであれば、ロバックスを買ってあげるから今すぐその乞う行為をやめろと言いたくなってしまう。
何より、そうした場で行うコミュニケーションにも不安がある。ひどいものでは『Roblox』を通じて違法オンラインカジノに誘われるケースもあったようだ。これに関しては対策が講じられているようだし、もちろん『Roblox』にはペアレンタルコントロールや年齢制限、チャットをオフにするオプションもある。あるにはあるが、『Roblox』で交流を楽しむ以上、リスクがつきものになるのは確かだろう。あるいはYouTuberを利用して詐欺に誘うケースもあったりと、常に油断ならない。
なぜ親が疲弊するのか、わかってもらえただろうか。子供と一緒に『Roblox』を遊ぶと、雑多すぎるエクスペリエンスやアバターコンテンツにめまいがし、押し寄せる課金要素をキャンセルするのにため息が出て、子供を監視しなければならず気疲れするのである。
もちろん『Roblox』によい面はある。よいコミュニティに入れれば世界中の人々とつながることもできるだろう。
よいエクスペリエンスもある。日本でも流行した『ひみつのおるすばん』はかわいくて少し刺激的ながら常識ある作品に仕上がっている。著作権を侵害していないオリジナルのエクスペリエンスはほかにもいくつもある。
『Roblox』はゲームを作るきっかけにもなりうるし、各種リテラシーを育むことにも繋がるうえ、単純に多くの作品を見て知識を得られるだろう。「くだらないエクスペリエンスに課金して金をドブに捨てるのは損でしかない」と学べるかもしれない。