相手から正則アラビア語で慰められる
3つ目の動画は、クウェート国営放送の「チャンネル1」で、クウェートの女性大臣ヒンド・サビーフ・バラク・アル・サビーフ氏が小池氏を訪問したときのもの。後方に、私と同時期にカイロで学んだ現イラク大使(前職は中東アフリカ局兼アフリカ部審議官)の岩井文男氏の姿が見える。
当然正則アラビア語で話すシチュエーションだが、小池氏は冒頭でいきなり「アフテケル」(私は思う)とエジプト口語で話し始めている。続いて「今日のミーティングは成功で、えー、フルートフル(これは英語)で、ヤアニイ(「つまりぃ」という意味の、言葉に詰まったときに使う口語)」と発言。
「私は日本における日本クウェイト(友好)協会の会長です。同時に、私は以前防衛大臣や環境大臣でした」。そしてアル・サビーフ大臣にすり寄り「私たちは、モンケン(可能である)……、ヤアニイ」と言葉に詰まったあと、「えー、私たちは同じ仕事(「ワザー……」と一度言い間違えそうになっている)をしており……」とようやく言って、相手に「サヒーフ、サヒーフ(合ってます、合ってます)」と正則アラビア語で慰められている(相手はきちんと正則アラビア語を用いている)。
その後「私たちには……、一つの問題、(ここで言い直して)(複数の)問題が起こり得るでしょうが……大臣として。ムシュ・ケダ(そうじゃないですか)?」。この「ムシュ・ケダ」も典型的なエジプト口語で、正しくは「ライサ・カザーリク」。「しかし、クウェートと日本の関係については、あー、えー、とてもとてもよいです」と話している。
発言は1分ほどだが、ほとんど意味のあることを話していない。率直に言って、アラビア語のひどさにこちらが赤面した。
こんなアラビア語で40年以上、 アラブの要人に会っていたのか!?
小池氏はよほど自分のアラビア語に自信がないようで、普段日本語で話すときの傲然とした態度は鳴りを潜め、相手の顔色を上目遣いで窺い、舌足らずの話し方で媚を売りながら、時に消え入りそうな声で話す点は、3つの動画に共通である。
また正則アラビア語の語彙が非常に少なく、同じような語を繰り返し使っている。
以上の通り、小池氏のアラビア語は、カイロ大学を卒業した人のアラビア語であるとは到底信じられないレベルのものである。