還暦近くの息子から音楽会のプレゼント

第6回

柳田 邦男 ノンフィクション作家
ライフ ライフスタイル

チャイコフスキーに爽やかささえ感じた

 2025年1月16日(木)

 近くの整形外科O医院に行く。いつものように腰痛と右足の痛み、しびれ感の定期検診(月1回)とリハビリのマッサージを受ける。高齢者の腰痛は何らかの外科的治療法で治せるものではない。リハビリのトレーニングやマッサージで、固まった筋肉や神経をほぐして、多少の痛みを残しても、歩行や作業をできるようにするしかないという。専門家にそう言われると、「ハイ」と納得するしかない。というわけで、毎週1回か2回、整形外科のリハビリセンターに通う日常になっている。

柳田氏 Ⓒ文藝春秋

 ともあれ、療法士による指圧や電気刺激などを一通り受けると、すっきりとした気分になって、《今日一日、頑張ろう》という前向きな気持ちが湧いてくるから、ありがたい。

「大人こそ絵本を」という変化球

 1月18日(土)

 都内代々木の旧オリンピック選手村で、絵本専門士養成講座の講義をする。全国の絵本普及活動のリーダー役を務める“絵本専門士”の資格を取るには、その講座を計30コマ受講しなければならない。講座は土・日のみ7か月。受講料8万円。私はその1コマ「大人こそ絵本を読もう」の授業を担当している。私の教科書は、小著『人生の1冊の絵本』(岩波新書)だ。

 絵本は、まだ言葉が発達していない乳幼児のために、簡単な言葉に絵をつけて、楽しくわかりやすくしたものだという理解の仕方をしている人が多いが、それは誤った思いこみに過ぎない。実は、絵本のなかには、苦難を受け容れて生きるにはとか、しなやかな人間関係の持ち方などについて、とても大事なことを、お説教調ではなく、やさしくしかもやわらかく語っている作品が少なくない。特に最近の名作絵本に、そういう作品が多い。私の授業では、そういう視点から選んだ絵本を取り上げて、「大人こそ絵本を。夜寝る前に10分か15分でいいから読もう」と呼びかけているのだ。そういう習慣が身につくと、仕事への向き合い方も、仕事上の対人関係の持ち方も、ずいぶん変わるに違いない。
 

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source : 文藝春秋 2025年8月号

genre : ライフ ライフスタイル