アナウンサーからタミヤ模型史研究顧問

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趣味のプラモ収集、模型づくりが仕事に

聞き手・生島淳

 人気番組を数多く担当し、テレビ朝日の看板アナウンサーだった松井康真さん(62)は、2023年に同局を定年退職後、プラモデルで知られる株式会社タミヤの「模型史研究顧問」に就任した。

 実は、在職中から、日本でも有数のコレクターとして知られていた松井さん。小学生の時から愛してやまないプラモデルの世界が、第二の人生の舞台になった。

 タミヤの田宮俊作前会長とは、私がアナウンサーだった頃から、30年ほどの付き合いがありました。実は、私が53歳の時に、会長から「テレビ朝日を辞めたら、ウチを手伝ってもらえないだろうか」というお話をいただいていたんです。はじめは最高の社交辞令だと思っていたんですが、お会いするごとに言われるので、これは本気だな、と(笑)。定年を待って、協力させていただくことになりましたが、私からの条件として、経営には一切タッチせず、タミヤの歴史を後世に残す仕事をしたい、とお伝えしました。社内には社史編纂室のような部署がないので、それをやらせてください、と。それで「模型史研究顧問」という肩書を作ってもらいました。

 出身は、富山県の東礪波郡井波町(ひがしとなみぐんいなみまち、現在の南砺市)。小学生の時に、校内放送を担当して以来、将来はアナウンサーにと夢見る青年だった。

松井康真さん Ⓒ文藝春秋

 高校時代、進路を選ぶにあたって、「アナウンサーになるには?」みたいなガイド本を2冊くらい買って調べました。すると、早稲田大学と立教大学にはアナウンスサークルがあり、アナウンサーを大勢、輩出していると書いてあったんです。そこで、早稲田を目指すことにしたのですが、ウチは公務員家庭で、「私立に行くなんて、とんでもない」と父から猛反対されました。富山県だと、国立の金沢大学に行くのが最善なわけです。私は理系なので、一計を案じて「東京工業大学(現・東京科学大学)を受けるから、滑り止めとして早稲田を受けたい」と話して、父もその案を認めてくれました。そして念願かなって、早稲田に合格。でも、東工大の試験も手を抜けないので、頑張っちゃったんです(笑)。合格発表で、自分の番号を見つけた時は、呆然としました。

 ただ、大学生活は楽しかったですよ。トランペットを小学生の頃から続けていたこともあって、管弦楽団に入り、毎日練習漬けでした。

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source : 文藝春秋 2025年12月号

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