『井口時男批評集成』井口時男/月曜社
『アメリカの新右翼』井上弘貴/新潮選書
『未完の名宰相 松平定信』大場一央/東洋経済新報社
あまり新刊を手にしない私でも、年に3冊くらいは記憶に残る本がある。
最初の1冊は、井口時男による文芸批評の集大成『井口時男批評集成 批評の方へ、文学の方へ』である。とうの昔に小説が社会を動かす時代は終わったが、それは文学が終わったことを意味しない。では、そもそも「文学」とは何なのか?
井口時男は、それを「物語」には回収し得ない自分を「突き放す」もの、そして、それとの出会いを言葉によって受け止めようとする姿勢のなかに見る。福田恆存の言葉を借りれば、だからこそ文学と批評は、「九十九匹」(政治)からこぼれ落ちた「一匹」(個人)が大量に発生する近代(転換期)にこそある種の「熱」を持ち得たのである。

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source : 文藝春秋 2026年1月号

