福島原発のデブリも処理できる
いま、世界のエネルギー環境が大きな転換点を迎えるなかで、各国とも「エネルギー戦略」の立て直しを迫られています。
まずAIの普及に伴い、データセンターなどで電力需要が急増しています。さらに長期化するロシアのウクライナ侵攻や緊迫化する中東情勢などにより、石油や天然ガスの供給が不安定化している。加えて地球温暖化に伴って脱炭素も求められ、再生可能エネルギーや次世代原発などの開発競争も激化しています。国際エネルギー機関(IEA)の現事務局長ファティ・ビロル氏の言葉を借りれば、「石炭・石油の時代から、『電気の時代』へと急速に移行している」のです。
こう語るのは、元経産官僚で、日本人で初めてIEA事務局長を務めた田中伸男氏だ。氏はエネルギー政策全般に詳しく、なかでも次世代原発に精通する。
高市早苗首相は昨年10月の所信表明演説で、「次世代革新炉やフュージョン〔核融合〕エネルギーの早期の社会実装を目指す」と述べた。とはいえ、福島第一原発事故を経験した日本社会には、原子力エネルギーの安全性に対する不信感が消えていない。最近も新潟県・柏崎刈羽原発で再稼働直後に制御棒トラブルが発生し、静岡県・浜岡原発では中部電力によるデータ不正も発覚した。こんな状況で、なぜ原子力を活用すべきなのか。
国家戦略としての「脱炭素」
IEAが設立されたのは、1974年のことです。第一次オイルショックを受けて、エネルギーの安定確保に危機感を抱いた先進国が連携してつくられました。
エネルギー安全保障の観点から見て、現在は、当時とはまた違った“地政学的構図”が浮かび上がっています。「ペトロステート(石油国家)」と「エレクトロステート(電気国家)」の覇権争いです。

「ペトロステート」とは、米国やロシア、サウジアラビアなど石油や天然ガスを自前で賄い、化石燃料を重視する国家のことです。「ドリル・ベイビー・ドリル(掘って、掘って、掘りまくれ)」という米国のトランプ大統領のスローガンが、この戦略を象徴しています。
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