町の本屋さんの減少に歯止めをかけるには

新たな宣伝手法と書店への送客力増強を

ニュース 社会

いま知っておくべき論点を、専門家がコンパクトに解説する「文藝春秋オピニオン 2026年の論点100」。この人気ムックの記事を「文藝春秋PLUS」でも紹介します。

 中小書店に多い書店組合の加盟店数を日書連『全国書店名簿』で追うと、全国どの都道府県を見ても1980年代後半から90年代初頭には減り始めている。

 出版科学研究所が発表している出版市場の推定販売金額は96、7年がピークだ。Amazonの日本への本格上陸は2000年、スマホの普及は10年代以降である。つまり「本が売れなくなる」「ネット書店やスマホの台頭」以前から町の本屋はつぶれている。誰もが「紙の本の売上の右肩下がりを止めないことには……」と思うだろうが、売上の維持・回復“だけ”では小さい本屋はやっていけない。

飯田一史『町の本屋はいかにしてつぶれてきたか: 知られざる戦後書店抗争史』(平凡社新書)

 出版市場全体では売上が伸びていた時期から町の本屋は年間1000店規模とも推定される閉業が相次いでいた。日販「書店経営指標」では売上を100とした場合の費用の割合を経年で調査しているが、1970年代から90年代にかけて、費用の主要項目である人件費と地代家賃が各2%前後上昇している。それに呼応して営業利益率は75年の3.5%をピークに減少が続き、97年には0.04%。「平均」で儲けがゼロだから赤字で閉店する店が多いのは当然だ。つまりこの間の売上上昇を、費用上昇が上回っていた。

 出版業界では、著作物再販制によって「本は定価販売で価格競争が起きないから小さい本屋もやっていける」と語られてきた。しかしそれが成立するのは、書店がやっていける定価とマージン(取り分)の設定がなされた場合に限られる。

 消費者物価指数に目を向けると、出版物は長らくほかのものと比べて上昇幅が抑制されてきた。売上=単価×販売数量、売上-費用=利益だ。したがって世の中のモノの値段、賃金の上昇率と比べて本の値段が上がらない場合、販売数量が増えない限り、小売店は費用だけ増えて利益が削られる。そして部数がいつまでも右肩上がりに伸びるはずもない。

 小売に定価販売を強いる契約は、使い方次第で書店を守るも殺すもできるが、日本では出版社による運用は失敗した。

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source : ノンフィクション出版 2026年の論点

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