「ビジュいいじゃん」ほかの類語にはない魅力

〈コラム〉2025年のことば⑩

飯間 浩明 『三省堂国語辞典』編集委員

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いま知っておくべき論点を、専門家がコンパクトに解説する「文藝春秋オピニオン 2026年の論点100」。この人気ムックの記事を「文藝春秋PLUS」でも紹介します。

 顔や容姿のよさを表すことばには、日常的に使われるものがあります。女性なら「可愛い」「きれい」。男性なら「かっこいい」。かつては「ハンサム」もありましたが、2000年以降に「イケメン」が広まり、定番になりました。これらのうちには、性別を問わず使えることばもありますが、それでも、どちらかの性をより強くイメージさせます。

 そこへいくと、現在盛んに使われるようになった「ビジュがいい」は、特にどちらの性別というのでもなく、顔のよさ、容姿のよさに広く使います。インスタグラムで「#ビジュいいじゃん」のキーワードで写真を検索すると、男性も女性も、若いアイドルもベテランの俳優も出てきます。さらには、子どもの写真、ペットの写真、ラーメンなど料理の写真もあります。応用性が高いですね。

「ビジュ」はもちろん「ビジュアル」の略です。「ビジュアル」は、昭和の頃までは「目に見える、視覚的」の意味が普通で、「ビジュアルな表現」というように使われました。一方、広告業界では「大胆なビジュアル」のように「見た目」の意味でも使われました。

 人の見た目を「ビジュアル」と言う例は、1990年代から顕著になります。たとえば、10代のあるロックボーカリストは〈ビジュアルのよさに加え、音楽性も買えた〉と紹介されています(『産経新聞』夕刊・94年10月6日付)。『三省堂国語辞典』がこの「人の外見」の意味を載せたのは、2008年刊行の第6版からで、やや遅れた観があります。

飯間浩明氏 ©文藝春秋

 省略形の「ビジュ」が一般的になったのは21世紀になってからです。バンドなどのいわゆる「ビジュアル系」も「ビジュ」とも言いましたが、これは一部の間にとどまりました。

 SNSが普及すると、「〇〇ちゃんのビジュが最高好み!」のような使い方が日常的になってきます。これは「〇〇ちゃんの見た目」ということです。2021年からは、私たち辞書関係者の元に、この「ビジュ」を新語として報告してくれる読者が多くなりました。

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source : ノンフィクション出版 2026年の論点

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