私は加賀百万石の礎を築いた前田利家の子孫で、前田家の第十八代当主を務めていました。
前田家には、武具や茶道具、能装束など、代々守り伝えてきた家の宝があります。1926年に財団を設立し、公益財団法人前田育徳会で保存・管理をしております。本年が財団設立100周年になりますので、このほど4月14日から東京国立博物館で特別展「百万石!加賀前田家」が開催されることとなりました。前田育徳会が管理している所蔵品は、22件の国宝と、77件の重要文化財を含めて、3万点ほどになりますが、そのうち選りすぐりの約240点が展示されます。東京でここまで大規模な展覧会が開かれるのは、60年ぶりのことです。
ぜひご覧いただきたいのは、歴代の甲冑です。実際に戦に出たのは三代・利常(としつね)くらいまでですが、当時は男子が成人すると必ず甲冑を作ったので、明治維新の少し前に当主となった十四代・慶寧(よしやす)までのものが一堂に会します。
煌びやかな金箔貼りの利家の甲冑は、重要文化財に指定されています。随分前になりますが、修理している甲冑を見に行ったことがあります。せっかくだからと身に纏ってみると、ずっしりと肩に食い込む重量感がありました。小柄な私が身に付けると、中で身体が泳ぐほど大きくて、利家はかなり大柄な人物だったことが感じられました。

天下泰平の世を迎えた三代・利常から五代・綱紀(つなのり)の時代に、加賀藩の文化が花開きました。当時の文化の中心は京都。そこで加賀藩は京都などから文化を担う人材を招いて自分たちで作れるようにしました。たとえば、利常は京都から仙叟宗室(せんそうそうしつ、裏千家四代)を呼んで、茶頭としました。大樋焼(おおひやき)をはじめ、加賀友禅、加賀蒔絵なども、同様にして興されたものです。また、五代・綱紀は『伊勢物語』など多くの書籍を蒐集しました。それが「加賀は天下の書府」と言われた所以です。
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