「本邦」という言葉の新鮮な響き
本書は二度読む(二度読める)ように設計されているのではないか。一度目はタイトル通り、明治初期の知的共同体『明六社』のヴィヴィッドな活動を知るために。二度目は、明六社の活動を念頭に置きながら、現在の言論を批判し、未来の言論を構築するために。そう思えたのは、下の引用部分を読んだ時だ。
「ともすればデマゴギーに飲み込まれる危険性をはらむ「論争」の海。そこに言論に伴う社会的責任と一定の質の保証を伴った言論のプラットフォームとして、突如現れたのが明六社と[その機関誌]『明六雑誌』であった」

明治初期のわが国の思想界は、どうしても福澤諭吉を中心に見てしまいがちだ。ベストセラー『学問のすすめ』と、丸山眞男によって必読書となる『文明論之概略』がある。『福翁自伝』でも福澤の目による回顧だ。仕方がないが、ほとんど福澤独り勝ちの観を呈する。
「明治初年の知的風景を描きなおす」という著者・河野有理の意図は、福澤が「ワン・オブ・ゼム」に過ぎなかった百家争鳴を描き出す。福澤は「明六雑誌」よりも自分の雑誌「民間雑誌」が活動の中心であった。
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