AIをめぐる国際競争力は電力供給と直結する時代に

データセンター急増のウラにあるリスク

近藤 奈香 ジャーナリスト

NEW

ニュース 社会

いま知っておくべき論点を、専門家がコンパクトに解説する「文藝春秋オピニオン 2026年の論点100」。この人気ムックの記事を「文藝春秋PLUS」でも紹介します。

 人工知能(AI)をめぐる覇権争いは、国家の存亡を左右する重要なテーマとなっている。アメリカのドナルド・トランプ大統領は、2025年1月、大統領に再び就任した翌日、今後4年間で5000億ドル(約74兆円)をAIインフラに投資する「スターゲート計画」を発表した。この中心にあるのが、複数の巨大データセンター拠点の建設だ。

 データセンターは、金融や医療、交通や行政など社会のあらゆる情報インフラを支えている。そのニーズは、クラウドサービスの普及や生成AIの進化で急増中だ。たとえば膨大な演算処理を要する対話型AI「チャットGPT」による検索は通常のグーグル検索と比べ約10倍の電力を消費するといわれ、画像や音声処理になれば消費電力はさらに大きい。

 それにともない、電力需要が伸びているのだ。国際エネルギー機関(IEA)によれば、世界中のデータセンターによる電力消費量が30年までに現在の約2倍にあたる約945テラワット時(現在の日本全体の電力消費量より多い)に達する可能性を指摘している(25年4月発表の報告書「エネルギーとAI」)。

画像はイメージです(変電所の鉄塔) ©So_Takinoiri/イメージマート

 だが、問題は電力需要の伸びより、データセンターが特定の地域に集中し、それらの地域の送電網や発電設備に深刻な負荷がかかっていることだ。

 サーバーを24時間365日稼働しているデータセンターは、大量かつ安定した電力供給が必要となるため、北米や欧州、アジア太平洋地域の一部に立地される傾向がある。そこには、原子力発電所1基分の発電量に相当する電力を消費する「ギガワット級クラスター」と呼ばれる施設群がつくられている。大型化はさらに進む見込みだ。メタはマンハッタンと同程度の面積を持つギガワット級クラスター「ハイペリオン」計画を発表、最終的には原発5基分のフル稼働が必要とされるほどの電力が求められる。

 だが、電力需要の一極集中に対応できるインフラが十分に整っていない。データセンターは1、2年で建設できる一方で、送電線や変電所など電力インフラの整備は4~10年、発電所の建設は計画から商業運転まで15年かかることもある。

有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。

記事もオンライン番組もすべて見放題
初月300円で今すぐ新規登録!

初回登録は初月300円

月額プラン

初回登録は初月300円・1ヶ月更新

1,200円/月

初回登録は初月300円
※2カ月目以降は通常価格で自動更新となります。

年額プラン

10,800円一括払い・1年更新

900円/月

1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き

電子版+雑誌プラン

18,000円一括払い・1年更新

1,500円/月

※1年分一括のお支払いとなります
※トートバッグ付き

有料会員になると…

日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事が読み放題!

  • 最新記事が発売前に読める
  • 編集長による記事解説ニュースレターを配信
  • 過去10年7,000本以上の記事アーカイブが読み放題
  • 塩野七生・藤原正彦…「名物連載」も一気に読める
  • 電子版オリジナル記事が読める
有料会員についてもっと詳しく見る

source : ノンフィクション出版 2026年の論点

genre : ニュース 社会