2010年代の初頭、ジェニファー・ローレンスが面白い立ち位置を取っていた。『ウィンターズ・ボーン』(2010)の高密度な芝居で評価されたあと、『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』(2011)や『ハンガー・ゲーム』(2012)といった派手な商業映画に続けて出演し、人気アクションスターの座をたちまち固めたのだ。
1990年、ケンタッキー州ルイヴィル生まれ。手足の伸びやかさや身体能力の高さは、早くから注目されていた。青い絵具でボディペインティングを施されようと、弓矢を持って野原を駆けめぐろうと、違和感はない。むしろ、超能力で生き延びるという設定がよく似合う。

だが、単なるオブジェでないこともすぐに感じさせる。クレイジーな暴れ馬という第一印象は強力だが、眼の動きや発声の仕方から、明らかに知性が伝わってくるのだ。この人は今後どんな道を歩むのか、と私は興味を持った。
ちょうどそのころ、デヴィッド・O・ラッセル監督の『世界にひとつのプレイブック』(2012)が公開された。私は軽い驚きを覚えた。そうか、やはりこういう芝居のできる人だったのか。
主人公のパット(ブラッドリー・クーパー)は、自宅で男とシャワーを浴びている妻の姿を目撃して大暴れし、精神科に収容される。退院し、自宅に帰ってからも強度の躁鬱状態は続いている。妻に接近することは許されていない。日課は、穴をあけた黒いごみ袋をポンチョのようにかぶり、頭と両腕を突き出した妙な姿で家の近所を走りまわることだ。
一方、ローレンスの演じるティファニーは、パットの友人の妻の妹だ。こちらは、夫が交通事故死したショックの反動で、勤め先の同僚男女11人全員と寝てしまった過去がある。危なっかしい。
そんなふたりが、ペアを組んでダンスの競技会に出場する。ティファニーは、妻に未練たらたらのパットが書いた手紙を渡す役目も引き受ける。ロマンティック・コメディではよくある手口だが、両者のとっちらかり方が半端ではない。
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