定説に投じる一石
維新を名乗る政党もあれば、新選組を名乗る政党もある。よほど、幕末維新の歴史が好きなのだろう。
幕末から明治初期頃までの歴史を嬉々として語る人(男性)は多い。だが、彼らは幕末維新の歴史そのものに関心を寄せているのではなく、単にその時代を描いた青春群像劇を好んでいるに過ぎないのではないか――。常々、そう思っていたところ本書を手に取り、次の一節に眼が吸い寄せられた。
「明治維新と言えば、たとえばこんなイメージを持っている人がいるかもしれません。あるとき、浦賀の沖合にペリーの艦隊がやってきて仰天した。そこから、このままではいけないと愛国心がメラメラ燃えてきた人たちが登場する。のらりくらりしている幕府を倒して、新しい政府をつくったのが明治維新である――このような歴史が一般に語られています。しかし実際は、そんな簡単な話ではありません。そもそもなぜペリーが日本に来たのか」
本書を読むまで、私はてっきりペリーは太平洋を渡って日本にやってきたのだと思い込んでいた。幕末維新好きだという男性たちに冷ややかな視線を送りつつ、私自身も何ひとつ理解していなかったのだと否応なく気づかされた。

アメリカが見ていたのは、あくまでも中国(当時の清)。そして、これは令和の今も、まったく変わっていない。
日本人は自分たちの目線でアメリカを見ようとする。常に日米関係として見る。だが、アメリカからすれば米中関係の中に日本があるのであって、決して日米関係の中に中国があるわけではないのだ。アメリカの中国に対するこだわりは近年に芽生えたというわけではなく、歴史的なものであることもわかった。
ロシアの脅威が朝鮮半島に及び日露戦争が引き起こされた、という定説を信じている人は少なくない。これは司馬遼太郎の小説などに影響されて広まった定説だ。だが、この点も日本人がそう理解しているだけで、当時のロシアに、そのような野心はなかったと本書はロシア側の事情を示して説明している。
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