華やかなオール・ラウンダー
日本文学の翻訳について語るとき、我々はつい、日本文学の英訳について語りがちである。
英語が世界で最も広く使われている言語であり、その先に広がる市場が大きく、眩しく見えるからでもあるだろう。
そのため、翻訳に関する本も、英語への翻訳、あるいは英語からの翻訳を扱うものが多い。
最近、翻訳家の仕事に再び光が当たり始め、「翻訳家研究」というサブジャンルさえ盛んになっているが、翻訳家にまつわる本も、拙著を含め、英訳者の話が中心になりがちな傾向は変わらない。
だからこそ、英語以外の言語を扱う訳者の話は貴重であり、個人的にも大いに勉強になる。西欧の主要言語以外の言葉から日本語への翻訳を手掛ける訳者については、『「その他の外国文学」の翻訳者』という良書が数年前に刊行されている。
『日本文学の翻訳者たち』には、英語、フランス語、ドイツ語圏の訳者に加え、オランダ語、韓国語、台湾華語、タイ語の訳者も登場する。
訳者たちが一堂に会する座談会ではなく、自らも英語から日本語への翻訳を手掛ける編者が、それぞれ個別にインタビューしたものだが、一冊にまとまることで、全体像が浮かび上がってくる。
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