弁護士でダンサーの車椅子ユーザーが描くダンスという解放
分厚い本を座面に敷いて座高を「偽装」し、下半身とは不釣り合いに発達した上半身で車椅子を颯爽と乗りこなす。著者は大学院を出て弁護士として働いたあと、現在はダンサーとして活躍する。法律とダンス。真逆の活動に思えるが、これを「秩序と解放」あるいは「規範と逸脱」と言い換えてみよう。なぜ相反する二つのベクトルが必要なのか。なぜ障害はこの対にとってクリティカルで、その視点から見るとダンスの歴史はどう違って見えるのか。本書は、著者の個人史の一コマと、ダンスの歴史の一幕を映画のようにつなぎながら、これらの問いに答えていくユニークで情熱的な本だ。
家を出て弁護士になるまでの著者は、自分の身体を否定していた。身体を最小化し、言葉を最大化すること。マイケル・ジャクソンのバラードに恍惚とし、湧き上がる衝動を感じたとしても、そんな生々しい快感にはフタをしなければならない。文化的素養を身につけて、洗練された言葉で語ることが、生存に必要な武器だと考えていたからだ。
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