金井美恵子「重箱のすみから」

平松 洋子 作家・エッセイスト

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エンタメ 読書

超絶技巧の引用芸

〈見ざる・聞かざる・言わざる〉は三猿の叡智を表わすというけれど、本書の著者は真っ向から反対をゆく。〈見逃さない・聞き洩らさない・言う〉。つまり〈流さない〉のが作家、金井美恵子の流儀である。

 2020年6月号から25年4月号まで、筑摩書房のPR誌『ちくま』に連載された時事エッセイと「付録」数編を収めた一冊で、書名はもちろん「重箱のすみをつつく」行為を連想させるのだが、じつのところ著者は新聞や雑誌などの切り抜きを箱に入れて保管し、必要に迫られれば再読(たまに見つからなかったりもする)。膨大な切り抜きの量と格闘する姿もまた「重箱」から浮上して味わい深い。

金井美恵子『重箱のすみから』(筑摩書房)2530円(税込)

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source : 文藝春秋 2026年6月号

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