ブロッコリーも、ここまできたか――。スーパーマーケットの目玉商品として山積みになっている様子を目にする度に、そんな思いを抱いてきました。
さらに今年度から、農林水産省が定める「指定野菜」にまで昇格しました。キャベツ、ジャガイモ、玉ネギなどと並んで、食卓に欠かせない野菜と国が認めてくれたのです。新規追加は半世紀ぶりで、選ばれたのは15品目めとなります。
あまり知られていませんが、冬でもトマトやピーマンなどの夏野菜がスーパーに安定的に供給されるのは、この「指定野菜」に選ばれ、野菜生産出荷安定法によって周年栽培されているから。農家も価格が下落した際に補填を受けられるので安心して生産できます。ブロッコリーも今回の指定を契機に、さらに食卓に並ぶ機会が増えるでしょう。長年ブロッコリーの研究と普及に携わってきた一人としては、隔世の感があります。

私がブロッコリーと出会ったのは、1969年のことでした。京都大学の助手時代、大学の農場で試験的に育てられているのを見つけたのです。
第一印象は「こんな形の野菜は見たことがない」。大根のような根菜でもなければ、トマトのように果実ができるわけでもない。これまでの野菜とは食べる部位が異なるのです。一つの花芽が野菜になることが多いのに、ブロッコリーは花芽が無数にある(後に学生と数えると、一房に花芽が7万個以上ありました)。
でも、食べると独特の食感があって美味しい。もともと農学部で花芽の研究をしていたこともあり、この未知の野菜に一気に惹かれました。
当時はブロッコリーを専門的に研究している人もおらず、栽培方法もよく分かっていませんでした。キャベツもトマトも、温度さえ合っていれば放っておいても成長すると思われていた時代ですが、ブロッコリーは放っておいては、上手く育ってくれない。粒の揃いが悪くて表面がデコボコになったり、大きなドーム状の「花蕾」の間から葉っぱが出てきたりする。さらには蕾と蕾の間にも隙間ができてドーム状にならない。そこで、当時導入されたばかりの電子顕微鏡を使って分化した花芽の数と発達を調べて、花芽発達の条件を研究しました。
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