〈梅雨ど真ん中に花火を撮る!〉日本の顔「デザイナーが凍りついた1枚」が生まれるまで

vol.176

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「文藝春秋」の編集者が明かす、電子版限定の“ここだけの話”

「日本の顔」に登場された野村陽一さんは、明治8年創業の花火会社・野村花火工業の4代目。その工場は、市街地からずいぶん離れたところにあります。火薬を扱うため、法律などの諸事情で人里から距離をとらないといけないのだそうです。

 具体的には、1時間に1回特急が止まるローカル駅、茨城県は友部駅から車で20~30分ほどの場所。ナビにしたがって駅から農業地帯を抜け、山間の角を曲がって細い道をしばらくいくと、なぜかお墓が見えてくる。本当にここであってる……?と地図を見返しそうになるのが、到着の頃合いです。

野村陽一氏 ©文藝春秋

 最初にご挨拶に伺ったその日。社長室をノックして部屋に入ると、中は歴代総理大臣の名前で賞状やトロフィーがずらり。長期・短期様々な政権に囲まれ、さながら現代日本政治のショーケースのようでした。

 それもそのはず。野村花火工業は、1年に2回しかない「内閣総理大臣賞」を授与される花火競技大会で、史上初の連覇を含めこの25年で23回優勝している日本一の花火師集団。いわば、春夏の甲子園で毎回決勝にあがり続ける「超・強豪校」にお邪魔したようなものだったのです。

賞状やトロフィーがずらりと並ぶ社長室 ©文藝春秋

 今更に改めておののきながら応接ソファーに腰掛け、取材の趣旨を説明。無事に取材依頼をご快諾いただいて、よかったよかった、では撮影日程の調整を……と座り直したところで、こうつけくわえられました。

「でもこれって、取材期間は夏の前だよね。この間、花火大会は1回しかないよ?」

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