朝ドラ「エール」対談「夫婦の愛を語る」

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作曲家の古関裕而・金子のふたりをモデルにした夫妻を描いたNHK朝の連ドラ「エール」に出演した窪田正孝さんと二階堂ふみさんが対談しました。激動の昭和を生き抜き、2人がもっとも印象に残ったシーンは?

<この記事のポイント>

●コロナで収録が中断していた間、ふたりはSNSで連絡を取り合うなど、それこそ「エール」を送り合っていたという
●「志村けんさんとの共演は僕の財産」と窪田さんは語る
●初めての朝ドラ出演だったという二階堂さんは「朝ドラは見てくださる方々と一緒に作っていくもの」と話す

母としての意識がすごく高い

 窪田 おつかれさまでした。今日は、撮影が早く終わったね。

 二階堂 終わる時間は日によってかなり違いますよね。でも、遅くなってもぶら下がり棒で息抜きできるから(笑)。窪田さんが健康グッズのぶら下がり棒を撮影スタジオ前の前室に持ってきてくださって。それからそういうアイテムが増えましたよね。マッサージグッズとか。

 窪田 ふみちゃんはスクワットマシンを持ってきてくれて、みんなで遊んだよね。今は食べ物の差し入れがあまりできないから、グッズはいいアイデアだなと思って。

 二階堂 窪田さんは今日もぶら下がってましたね。

 窪田 そうそう。ぶら下がり棒は仕事の合間にたまにやるとリフレッシュになるから。みんな「気持ちいい、気持ちいい」って言って、メイクさんとかもぶら下がってるよね。

 二階堂 衣装部の男の子も「僕は収録が終わるまでに、もうちょっと筋肉を増やす」って。毎日やっていたら、ちょっと自信がついてきたみたいで、この間は半袖になっていました。見せたいみたい(笑)。

 昭和の名作曲家・古関裕而(こせきゆうじ)とその妻である古関金子(きんこ)をモデルに、激動の昭和を生き抜いた夫婦を描く連続テレビ小説『エール』。内向的だが音楽に情熱を燃やす主人公の古山裕一(こやまゆういち)を窪田正孝、歌手を目指しながら裕一を明るく支える妻の音(おと)を二階堂ふみが演じている。

 今作は新型コロナウイルスの影響で3月末から6月中旬まで撮影が中断された。そのため、6月末から再放送が続いたが、9月中旬にはドラマが再開。11月27日にいよいよ最終回を迎える。
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連続テレビ小説『エール』(月~土8時/NHK総合ほか)

 窪田 裕一と音は音楽や戦争、子育てを通じて、恋人だったり夫婦だったり、時には同志にもなったり。役作りっていうのではないけど、2人でけっこう話したよね。

 二階堂 じっくり話すというより、撮る前に「ちょっとこういうことしようかな」と言ったら、窪田さんが「いいよ」みたいな簡単なやり取りですね。

 窪田 男性と女性という違いなのか台本の読み方が全然違うことがあって、撮影現場が答え合わせみたいで僕は楽しかった。台本に薄く答えが書いてあるのを、2人でセッションして正解を探していく感覚かな。

 娘の華が生まれて、音は母になったんだけど、音は母としての責任を全うしようとしているから意識がすごく高い。でも、華が居ない時にふと母から妻に戻って、もたれかかるとか、スキンシップを取ってくれる。ああいうのはふみちゃんが率先して動いてくれて、僕は助けられた感じはあった。

 二階堂 嫌ではなかったですか?(笑)

 窪田 全然、全然。話が進むごとに2人は「親」になって、「夫婦」の関係は薄くなっていくのかなと想像していたんだけれど、ふみちゃんは裕一と音の一番大切なものが何かを分かっていて、すごくいい夫婦関係だなと思った。

夫婦の大切な時間

 二階堂 実際の古関さんと金子さんがすっごいラブラブだったらしいんです。お子さんたちが実際に赤面しちゃうくらい仲がよかった。すごく好きなエピソードがあって、同じ家に住んでいるのにご夫婦で互いに年賀状を送り合っていたんですって。それが大量のお手紙と一緒に見つかったと聞きました。

 窪田 へえ、そんなことがあったんだ。

 二階堂 『エール』にはいろいろな登場人物がいるので、夫婦だけにグッと寄るよりも、ふとした場面で2人の関係がパッと見えたらいいなと思っていました。古関さんと金子さんはすごく仲の良いご夫婦だったので、音が裕一さんのパワーの源になればいいなという思いを込めて。

 窪田 僕は昨年結婚したのだけれど、1人で暮らしていたときは全部が自分の時間だった。でも誰かと一緒に住むといろんなものを共有することになる。日常から何でも共有してふたりで時間を費やせば費やすほど、その時間が大切になってくるんです。もちろん、育ちも生まれも違うから価値観のずれとかもでてくるんだけど。人間が2人いれば物語ができるんだな、というのは今回の役とつながったかもしれない。

戦争はきれいごとで済まない

 ドラマの中で、裕一と音、2人に大きな影を落としたのが、戦争だった。

 ヒット曲も出し、作曲家として身を立てた裕一は戦時歌謡の作曲でさらなる名声を得る。しかし慰問で赴いたビルマで戦争の現実を知ると、自分の曲が若者たちを戦争へと駆り立てたのではと悩み、終戦後、曲が書けなくなってしまう。

 不条理さ、残酷さから逃げずに戦争を描いたことは大きな話題を呼んだ。

 二階堂 終戦から75年がたって、私たちは戦争を体験された方々からじかに話を聞ける最後の世代かもしれない、という自覚があるんです。ドラマでも戦争の悲劇を描くことは重要だと思っていて、自分と同じ人間が戦争していたということをちゃんと感じて考えて伝えていける大人でありたいとも思います。こういう仕事に携わらせていただいている中で、戦争を描くときは、そういう気持ちと学びをちゃんと持って演じなくてはいけないという意識がありました。

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source : 文藝春秋 2020年12月号

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