「キツイ」、「汚い」、「危険」なのに「稼げない」――。そんな「4K職場」と揶揄されるトラックドライバーの助手席に「同乗取材」した労作である。
ともすれば“やんちゃ”なイメージでくくられがちな彼らだが、本書では、還暦を前に東京―名古屋―大阪間を週に3往復する長距離ドライバーや、高級車「レクサス」のオーナーを夢見て個人向けの軽トラ配送業に転身した元印刷会社の管理職など、十人十色の生き様を描く。
刈屋氏は約30年前に佐川急便のアルバイトを始め、物流専門紙などを経て物流ジャーナリストとして独立した。
「昔は、花形とされた長距離ドライバーであれば年収1000万円を超えることも珍しくなく、『激務だが3年我慢すれば家が建つ』とさえ言われていました。ただ、1990年代以降、運賃値下げ競争が激化したことでドライバーの給料も右肩下がりに。現在、中小型トラックドライバーの平均年収は419万円で、全産業平均と比べて2割ほど低い水準です」
厳しい労働環境に加えて、ネット通販の拡大による宅配量の増加を受け、人手不足は常態化している。現在、10万人が不足しており、2028年にはその数が28万人にまで膨れ上がる見通しだ。
「深刻なのが高齢化です。大型ドライバーの平均年齢は48.6歳。今後は若者だけでなく女性や外国人など新たな担い手を育てていかなければなりません」
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source : 文藝春秋 2021年2月号