「嫁姑問題」がドラマから消えた

特集 平成30年史全証言《TV》

橋田 壽賀子 脚本家
エンタメ テレビ・ラジオ

医者が主人公のドラマに面白い作品が登場した

橋田壽賀子氏 ©文藝春秋

 スマホの普及がテレビドラマの質を変えました。特にSNSの、ツイッターとかフェイスブックっていうのですか。テレビ局は「いいね」の数をずいぶん気にするようになりました。だからドラマは、ますます若い人向けに作られ始めています。

 テレビを観ながらスマホを操作するなんて、よく時間があるわねと私は思いますけれど、放送中に「いいね」がたくさん付いたり、好評なコメントが多ければ、テレビ局は視聴率が悪くてもいい。最近だと『おっさんずラブ』なんて、深夜のドラマだから視聴率は低いのに、インターネットで評判になって人気が出たのでしょう?

 この間、NHKの『フェイクニュース』というドラマを観ました。小さな書き込みがどんどん広まって、独り歩きして収拾がつかなくなる話。インターネットのことをよく調べて作ってあってとても面白かった。いまでなければ作れない、新しいドラマだと思いました。私なんかにはとても書けない脚本です。

 でも改めて怖いなと思います。スマホが出てきてまだ10年くらい。SNSが流行り始めてまだ7、8年でしょう。それがこんなに世の中を変え、テレビやテレビドラマを大きく変えてしまったんです。

 テレビドラマを変えたもう一つの要因はお金ですね。いまテレビ局はどこも2020年の東京オリンピックとパラリンピックにお金がかかるから、ほかの番組の制作費を抑えているんです。ある局の人から「オリンピックでお金かかっちゃって、ドラマが作りにくくなった」とはっきり言われました。ドラマには特にお金がかかりますから、セットよりロケ撮影が多くなったし、俳優さんもいい人を使えない。世知辛い時代になったな、と思って。

 オリンピックなんて日本でやらなくたっていいのにと、私なんか思います。昭和39年の前回の東京オリンピックは、日本が高度成長へ向かうステップになりましたけど、こんなに国の力が落ちているときにオリンピックをやって何のトクがあるんでしょうか。

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source : 文藝春秋 2019年1月号

genre : エンタメ テレビ・ラジオ