3月5日、文藝春秋第10回資産運用オンラインセミナー「元気ないまこそ考える 安心の資産運用とは」が開催された。基調講演では、作家・五木寛之さんが登壇し「いまを生きる力」と題してこころの相続についての興味深いお話をされた。第2部では資産運用特別講演として、アセットマネジメントOne株式会社・若森康江氏による投資信託「投資のソムリエ」のご紹介もあり、今後のヒントに富んだ充実した内容となった。
「相続とはなにか」
第一部に登場した五木寛之さんは、最初に「相続とはなにか」について語り始めた。
「相続というと、いかにも土地とか不動産とか、株とかあるいは預金とか、そういうものがたくさんある人たちの話のようなイメージがありますが、決してそうではないんですね。私が相続について数年前にふっと気が付いたことは、こういう出来事があったからなのです」といって、自らの体験を披露した。
五木寛之さん
秋刀魚がおいしい季節のある日、五木さんが担当編集者やデスクと焼き魚定食を食べた時のこと。女性の担当編集が若いながら、秋刀魚の骨を標本にできるくらい綺麗に食べる様子を見て驚いた五木さんが尋ねたところ、「母から魚の食べ方をとてもうるさく言われたんです」との答えが返ってきた。それを聞いた五木さんは、「あぁ、この親子は魚の食べ方を‟相続“したのだな。そこから、世の中には目に見えない相続というものもあるのではないか」と思うに至り、その後自身の子どもの頃からのいろいろなことを思い出して考えたという。
一例として、作家となって「文士劇」(昭和9年から45年まで戦時中を除き愛読者大会として年に一度、文藝春秋主催によって開催された錚々たる作家による演劇会)に出演した際、ちょっとした殺陣を演じる場面で、「五木さんは剣術をやっていたんですね」と言われて父親から子どもの頃に剣道を教えられたことを思い出し、これも一つの相続だなと思ったことなど、他にもいろいろと父親とのエピソードを話してくれた。
最後に、「人は、家族、先輩や仲間、地域、国から様々なものを相続しています。ステイホームの時期、自分の人生の中でどんな無形のものを相続しているか、あらためて検証してみるのも面白いのではないかと思います。そして、無形の相続、気障に言うと『心の相続』をどうやって後の世代に伝えることができるか考える。この、考えるということが、いまの時代に大事なことではないかと思います。日々の暮らしの中で、考えるヒントになれば幸いです」と講演を締めくくった。
先が読みにくい時代の資産運用
第2部は、若森康江氏(アセットマネジメントOne株式会社 投資信託プロモーショングループ チーム長)による、資産運用の特別講演。「難しい時代だからこその徹底した分散投資」と題して、先が読みにくいいまの時代の資産運用にどのような考え方が必要かを解説して、同社のバランス型投資信託「投資のソムリエ」を紹介した。
若森康江氏(アセットマネジメントOne株式会社 投資信託プロモーショングループ チーム長)
2019年の日本人の平均寿命は、女性87.45歳、男性81.41歳。人生100年時代が目前に迫る一方で、複雑化する世界の投資環境において先を見通すことが困難なことも事実と指摘したうえで、こう話す。
「タイトルにある『難しい時代だからこそ』とは、運用そのものが過去と比べて単純な分散投資や投資のスタイルが利かなくなってきていること。そして、グローバル化やネットの発達で世界のマーケットの連動性が高まり、地域の分散も利かなくなってきているということなんです」と、運用する背景をふまえつつ、こう続ける。
「そこで私たちは、徹底的に分散投資にこだわり、中長期的なリターンの積み上げを狙うことを哲学とした『投資のソムリエ』の運用を始めました」
この「投資のソムリエ」は、国内外8つの資産に分散、月次戦略で基本配分比率を毎月見直し、日次戦略で機動的に配分比率を変更することで下落局面での値下がりを抑え、基準価額の変動リスクを年率4%程度に抑えながら、安定的な基準価額の上昇を目指す。数あるバランス型投資信託の中でも、日次で現金等も活用してドラスティックに配分比率を見直すものは、あまり例がないという。
そして、昨年2月後半からのコロナ・ショックでも日々相場局面を分析して、迅速かつきめ細やかな配分比率の見直しで、基準価額の下落を抑え安定した運用を実現、「危機に強いファンド」として注目を集めているといい、こう締めくくった。
「是非、リスクを抑えた運用で、自分の寿命も、お金の寿命も伸ばすことを始めていただければと思います」
協賛社|アセットマネジメントOne 横浜銀行 千葉銀行
※2021年3月5日文藝春秋にて開催 撮影/深野未季
source : 文藝春秋 メディア事業局