愛知県知事リコール「不正署名」黒幕は誰なのか? 愛知県知事の大村秀章氏が河村たかし名古屋市長の“嘘”を追及する
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▶これだけ嘘を重ね、説明責任を果たすつもりもない河村氏に「政治家としての資格」など、ひと欠けらもない
▶批判を展開していた当の河村氏が、実は国会議員年金をもらっていた。これは有権者に対する許しがたい背信行為。約12年にもわたって国民を欺いていたことになる
▶「リコール署名の大量捏造」という前代未聞の嘘も、直接の発端は、「トリエンナーレ」をめぐる嘘にあった
大村氏
1つ嘘をつくと100の嘘を
「すべては嘘から始まりました。嘘に嘘が重ねられ、そして不寛容が始まったのです」
「彼は嘘をつき、人々をミスリードしてクーデターを企てました」
「度を超えた事態を引き起こした人たちの説明責任を追及しなければなりません」
これはトランプ前米大統領支持者による連邦議会議事堂への乱入という前代未聞の“クーデター”まがいの事件の後、元カリフォルニア州知事で俳優のアーノルド・シュワルツェネッガー氏が語った言葉です。
私はこの言葉に大いに共感するとともに、トランプ氏に向けられたこの言葉が、また別の政治家にも向けられている、と思わざるを得ません。4月11日告示の名古屋市長選に4期目を目指して出馬を表明した現職市長、河村たかし氏です。
人は、1つ嘘をつくと100の嘘をつかなければならなくなります。おそらく彼が企画・立案し、全面的に支援した、私に対するリコール運動の「署名偽造事件」も、「あいちトリエンナーレ」に関して事実と異なることを並べ立てて一方的に私を攻撃したことも、それが最もわかりやすい形で現れたものです。
河村氏の場合も、まさに、すべては嘘から始まりました。公然と嘘をつき、その嘘が暴露されたら相手を嘘つき呼ばわりする。嘘に嘘が重ねられ、彼は人々をミスリードして“クーデター”が企てられました。署名の大量捏造が行われ、民主主義の神聖な原則が踏みにじられたのです。度を超えた今回の事態に対する河村氏の説明責任は、徹底的に追及されなければなりません。
私は、民主主義をぶち壊す河村氏ではなく、市政を知り尽くすベテランの元市議長で、今回の市長選に出馬する横井利明氏を支持します。これだけ嘘を重ね、説明責任を果たすつもりもない河村氏に「政治家としての資格」など、ひと欠けらもないことは、もはや明らかだからです。
4期目をめざし出馬表明した河村たかし名古屋市長
署名の大量捏造
3月24日、愛知県の大村秀章知事のリコール運動をめぐる署名偽造事件で、愛知県警は、地方自治法違反(署名偽造)の容疑で、名古屋市東区のリコール活動団体の旧事務所を家宅捜索した。
今回のリコール運動の発端は、一昨年夏の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」にある。美容外科「高須クリニック」の高須克弥院長らが展示内容を問題視し、トリエンナーレ実行委員会の会長だった大村知事のリコールを求める活動団体「お辞め下さい大村秀章愛知県知事 愛知100万人リコールの会」(高須会長、田中孝博事務局長〔日本維新の会愛知5区元支部長で次期衆院選に出馬予定だった〕)を設立。昨年8月下旬から2カ月間、署名を集めたが、提出された署名は43万5334筆で、住民投票に必要な法定数に届かなかった。
ところが、今年2月1日、愛知県選挙管理委員会が“驚愕の事実”を公表する。「勝手に名前を使われた」などの指摘が相次いだため、県選管が調べたところ、提出署名の83.2%に相当する36万2187筆が無効と判断されたのだ。無効署名の約90%が複数の同一人物によって書かれたと疑われ、「選挙人名簿に登録されていない人の署名」だけでなく「すでに死亡している人の署名」まで多数あった。前者は架空の名前をでっち上げればできるが、死者の場合は、何らかの本物の名簿がなければ捏造できない。つまり、組織的に署名の捏造が行われたことを窺わせる。2月16日付の中日新聞は「名古屋市の広告関連会社の下請け会社が、大手人材紹介会社(本社東京)を通じてアルバイトを募集。佐賀市内の貸会議室で書き写させていた」とスクープした。
中日新聞のスクープには目を疑いました。リコールは有権者が公職者を直接解職できる制度で、民主主義を支える有権者の神聖な権利です。その署名が、アルバイトを雇って、組織的に捏造されていたとすれば、これは、民主主義を根底から脅かす重大な事態です。
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source : 文藝春秋 2021年5月号