この機を逃せば日本勢復活のチャンスはない
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提携の一報を聞いたとき、織田信長と徳川家康の軍事同盟が頭に思い浮かびました。
信長は、火縄銃や楽市楽座など最先端の武器や制度を次々と導入した時代の革命児です。孫正義さんは信長に似ています。携帯電話や再生可能エネルギー、自動運転車など新しい分野で大胆なM&Aを繰り返して大きくなってきました。類まれなるカリスマ性を持ち、トップダウンで組織を動かす強力なリーダーであることも共通点で、孫さんも「心のヒーローは信長だ」と繰り返し語っています。
トヨタは、徳川家発祥の地「松平郷」のある愛知県豊田市に本社があります。徳川家は「三河武士」という言葉に代表されるように、家臣団が一枚岩になって主君に忠義を尽くす、実直さを旨とする集団です。豊田章男社長は会見で、トヨタの強みは「現場の力にある」と語りました。創業以来、豊田家を中心として真面目に自動車の製造に取り組んできたトヨタの社風は、三河武士の気質を彷彿とさせます。
桶狭間の戦いで今川義元を討った信長は、その2年後に家康と同盟を結び、2人は二人三脚で天下取りへの階段を駆け上がりました。
いまは次世代自動車産業の覇権を狙い、世界中の企業が群雄割拠する、いわば「戦国時代」。私の目には、両社の提携が「天下取り」に向けた第一歩に見えたのです。
10月4日、ソフトバンクグループとトヨタ自動車が記者会見を開いた。自動運転車などの移動サービス事業で提携し、新会社「モネ・テクノロジーズ」を今年度中に立ち上げることを発表したのだ。まずは過疎地の高齢者ら「交通弱者」に向けた配車サービスを実施し、さらに技術開発が進めば、次世代自動運転車「e‒パレット」を用いた「移動コンビニ」事業などに乗り出すという。
約22.8兆円で時価総額国内第1位のトヨタに対し、ソフトバンクは約12.3兆円で第2位。この異業種間の“強者連合”は大きな驚きを持って迎えられた。
嶋聡氏は、2005年から8年間にわたりソフトバンクの社長室長として孫正義社長の「参謀」を務め、会見の3カ月前には、「トヨタとソフトバンクが合併する日」(「週刊現代」6月30日号)と題する対談で、両社の提携を“予言”していた。
嶋氏は“強者連合”の未来をどう見ているのか。
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source : 文藝春秋 2018年12月号