サイエンスライターの佐藤健太郎氏が世の中に存在する様々な「数字」のヒミツを分析します。
アンモニア生産に伴うCO2排出量=約3億トン
今年、京都では記録に残る1200年間で最も早く桜が満開を迎えたという。この異常事態がさほど話題にはならなかったのは、コロナ禍に気を取られてか、あるいは温暖化慣れしてしまったせいなのか。だがその間にも、状況は悪化の一途を辿っている。
温暖化の原因とされる大気中CO2濃度を下げるため、多くのアイディアが出されている。エネルギー供給体制や都市デザインを変革するような大規模なアプローチから、CO2を吸収する材料の開発まで、やり方は多種多様だ。だが、やはり有力なのは植物の力を借りることだろう。植物は、空気中のCO2を効率よく吸収し、炭素を固定してくれる。得られた茎や実は、食料やエネルギー源として活用でき、しかも水といくらかの肥料を与えるだけで、自発的に増殖してくれる。これに匹敵する優れたシステムを人工的に創り出せるようになるのは、おそらく50年は先だろう。となれば、植物の力を活用しない手はない。
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source : 文藝春秋 2021年6月号