迫り来る人口減少社会に対する答えがこれでいいのか──
「街中で外国人を目にする機会が増えた」
そう感じている人は少なくないだろう。インバウンドによる観光客だけではない。実際に日本に住み、仕事をしている外国人は確かに増えている。
現在、日本で暮らす外国人数は、約256万人(2017年12月末時点。法務省の在留外国人統計)。また、「1年以上外国に居住している人」を移民とする経済協力開発機構(OECD)のデータによれば、2015年の1年間に日本に流入した外国人数は約39万人にものぼる。
ドイツ、アメリカ、イギリスに次ぎ、先進国では4番目に多い。政府の公式見解では「移民」を解禁していないことになっているが、実は日本は“隠れ移民大国”なのである。
そして今年6月、安倍晋三内閣の「骨太の方針」では、人手不足解消のため外国人労働者を受け入れる旨が発表された。これから日本人の人口が減り続けるなかで、日本に住む外国人の割合はますます増えていく。
では、現在の日本の外国人の受け入れ態勢はどうなっているのか、なぜいつの間にか増えたのか、欧米のように差別や格差の問題は生まれないのか、これからどんな問題が起こり得るのか――。
学生の半数が留学生という立命館アジア太平洋大学(APU、大分県別府市)学長の出口治明氏、日本国際交流センター執行理事として移民政策に率先して取り組んできた毛受(めんじゅ)敏浩氏、人口政策に詳しいジャーナリストの河合雅司氏が、“移民の論点”を語りあった。
(1)世界第4位“隠れ移民大国”の実態
出口 あるときコンビニで日本人の店員を探そうと思って夜中に何軒か回ったのですが、1人も見つけることができなくて驚いたことがあります。外国人は着実に増えています。
毛受 先日、コンビニ大手の外国人労働者の比率が発表されましたが、最大手のセブン―イレブンは7.9%で約3万1000人、次に多いローソンが5.8%で約1万1000人、3番目のファミリーマートが5%で約1万人、ミニストップが9.7%で約3300人でした。合計で5万5000人もの外国人がコンビニで働いています(2018年8月末時点)。
いまのところ、大都市中心で地域差はあるかと思いますが、今後も増えていくのは間違いありません。
河合 私が「おっ」と思ったのは、5〜6年前のことです。新橋のチェーンレストランに入ったら、外国人のウェイターが、外国人のお客さんの注文を取っていた。これは新鮮でしたね。日本人のウェイターが外国人のお客さんの注文を取ることはあっても、外国人同士というのは新鮮でした。日本の中で、外国人同士が、異国の言葉でコミュニケーションを取る。そんな時代になったんだと感じました。
しかし、いまやそれが珍しくありません。知人が外国人の多い別荘地に遊びに行ったとき、近所のレストランでわざわざ頼まないと日本語メニューが出てこなかったというのです。
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source : 文藝春秋 2018年11月号