オルタナティブスクールとは、一般的な公立・私立の学校とは異なる、独自の教育理念や方針により運営されている学びや暮らしの場の総称です。はっきりとした定義はなく、フリースペースやフリースクールなど、さまざまな呼称があり、家庭で学習するホームスクールを含むこともあります。
2022年には、川崎市子ども夢パークを舞台にしたドキュメンタリー映画『ゆめパのじかん』で、公設パークの一角にある「フリースペースえん」の存在が広く知られ、話題になりました。
「えん」では、子どもたちは原則的に、施設の開館時間内であれば、いつ来ていつ帰ってもよく、その日一日、何をして過ごすかは子どもたち自身が決めます。同時に、何も「やらない」自由もまた尊重されています。生きているだけで素晴らしいと子どもたちに伝え、子どもたちのありのままを肯定する大人たちのまなざしは、大いに評判を呼びました。
国内にオルタナティブスクールは約500カ所あると言われ(2015年文科省の調査をもとにした推計値)、現在はさらに増加しているようです。その背景にあるのは、「価値観の多様化」と、「学校に行けない児童生徒の増加」です。

20世紀における教育では、学校教育は絶対的なものでした。しかし、世界や日本でのオルタナティブスクールの実践が知られるようになると、教育を受ける場所として、学校が唯一絶対的な存在ではなくなり、「学校以外にも選択肢がある」と、学校の存在は相対的なものへと徐々に変化していきました。
日本におけるオルタナティブスクールは、大きく分けると、公教育になじまない子どもたちを受け入れる「受け皿型」と、シュタイナー教育やイエナプラン教育といった主に欧州発の教育をベースに行われている「理念型」があります。欧米では後者が多いのに対し、日本ではこの2つが併存し、さらに個別のニーズに合わせて多様化しているのが特徴です。
コロナ禍は学校に行けない子どもたちを急増させました。日本の小・中学校における不登校児童生徒数は29万9000人(2022年度)。小学生では59人に1人、中学生では17人に1人とも言われ、学校以外でどのように学習を保障するかが、全国的な課題となる中、オルタナティブスクールは子どもたちの「受け皿」の役割を果たしてきました。
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