ソフトバンクに現れた救世主、低迷するメルカリ株、三菱グループ天下りの弊害、奇襲をかけたヤマダ電機

丸の内コンフィデンシャル

ビジネス 企業

★救世主の正体は

 通信速度が現行の100倍になる第5世代(5G)の次世代通信網整備には、膨大な費用がかかる。携帯電話会社1社あたりの投資額は3兆円とも4兆円ともいわれ、ソフトバンクグループ(孫正義社長)が資金をどう調達するのかが話題だ。有利子負債が多く、金融機関が「これ以上の融資に応じられない」という姿勢を見せているからだ。

 有利子負債は6月末時点で13兆円超。発行済み株式の約3割を持つ中国アリババ集団の含み益が15兆円あるため、不安はなさそうに見えるが、アリババ株は政策的に売れない。4月に子会社の米スプリントがドイツのTモバイルと合併を決めた際に経営権を手放し、スプリントを持ち分法適用会社にしたのは、有利子負債を減らすためだ。

 ソフトバンクグループは7月、東京証券取引所に、子会社のソフトバンク(宮内謙社長)上場の予備申請をした。これで2兆円は調達できるとされるが、5G投資は賄いきれない。そんな折、ソフトバンクに救世主が現れた。「中国の通信機器大手のファーウェイが融資を持ちかけている」(関係者)というのだ。ソフトバンクの通信網整備に必要な設備をファーウェイが納入する代わりに資金を貸す、という。

 だが懸念もある。今年4月、米商務省はファーウェイと並ぶ中国通信機器大手ZTEに対し、米企業との取引停止を命じた。ZTEの通信設備を通じ、米国内のデータが中国に流れるのではないかという疑念があったため、といわれている。同様のリスクは日本にも当てはまり、政府関係者の中には、ソフトバンクに対するファーウェイの融資を警戒する声もある。

「いまのところファーウェイの通信機器からデータが抜き取られ、中国に流れるという確たる証拠はない」と、ある政府関係者は言う。それを見抜いてなのかどうか、ソフトバンクは「設備の調達で政府に指図されるいわれはない」という立場を取っている。

 だが「強気の姿勢を崩さないのは、それだけ資金調達に苦労しているということの裏返し」(前出・政府関係者)。ZTEの二の舞にならないかどうか。5Gに向けた同社の資金調達は、決して楽観視できる状況ではない。

★低迷するメルカリ株

 6月に東証マザーズ上場を果たしたフリマアプリのメルカリ(山田進太郎会長兼CEO)株が振るわない。9月18日に3020円と上場来安値を更新、公開価格(3000円)割れも取り沙汰された。

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source : 文藝春秋 2018年11月号

genre : ビジネス 企業