住商会長の怪気炎、スルガ銀行の行方、瀬戸際のパイオニア、人材難に喘ぐヤマト

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★住商会長の怪気炎

 経団連が7月に長野県軽井沢町で恒例の夏季フォーラムを開いた。会長に日立製作所会長の中西宏明氏が就任して初開催のため、同氏の発言が最大の関心事となったが、意外な点で注目を集めたのが住友商事会長の中村邦晴氏だ。

 中村氏は中国が広域経済圏構想「一帯一路」を掲げて新興国のインフラ開発を支援していることに言及、「中国が政治的・経済的な領土を広げている」と指摘した。その上で「米国は中国をどう見ているのか」と問題提起をした。

「発言そのものは普通だったけれど、存在感を示そうと躍起だった。御手洗冨士夫氏(キヤノン会長)の後釜を狙って、軽井沢で愛嬌を振りまいた東芝元会長の故・西田厚聰氏もそうだった」。出席したある財界人はそう語る。

 中村氏は現在、副会長の待命ポストである経団連審議員会副議長の1人。副議長は20人で構成され、ほとんどのメンバーが「次は副会長」と狙っているものだが、とりわけ中村氏が猛アピールしたのは、現在副会長である三井物産会長の飯島彰己氏が来年5月に任期満了となるためだ。

 本来、経団連副会長は様々な業種のトップが就くが、商社だけは「枠がある」と言われている。大手商社はいずれも数千億円単位の純利益を上げ、他業種に比べ経団連に潤沢な活動費を出すからだ。実際、商社枠はもともと1つだったが、現在は2枠で、飯島氏と三菱商事会長の小林健氏がその任にある。このうち飯島氏が勇退した際に後任が商社から出るのは確実と見られており、中村氏は、その座を手中に収めようと軽井沢で張り切ったのだろう。

 もっとも「ポスト飯島」の候補者は中村氏だけではない。同氏と同じ審議員会副議長に伊藤忠商事会長の岡藤正広氏、日本ロシア経済委員会委員長に丸紅会長の朝田照男氏がおり、いずれも副会長候補。特に朝田氏は副会長就任を熱望しているとされ、「最近会食のお誘いが頻繁にある」と前出の財界人は語る。

「丸紅は日立と同じ芙蓉グループだから、中西さんも朝田さんを無下にはできないだろう」(別の財界人)。一方、利益額では岡藤氏が一歩リードしており、ポスト飯島はなお混とんとしている。中村氏のアピールは実るのだろうか。

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source : 文藝春秋 2018年10月号

genre : ビジネス 企業