故・金正日総書記の娘であり、金正恩朝鮮労働党委員長の実妹・金与正（30）の姿を知っている人は多いはずだ。

　2月の平昌五輪の開会式に姿を見せたり、4月の南北首脳会談と6月の米朝首脳会談で金正恩に陪席したり、メディアに多く露出している。金正恩は、会談の際、口調を整える時や言いよどむ時は金与正の方向を見ながら話を続けていた。重要な事実確認をするわけではなく、金与正が横にいるのが精神的に安定するようにも見えた。板門店やシンガポールで、金正恩が文書に署名する際、彼女が万年筆を渡すシーンは印象的だった。

　その金与正が、2015年4月に大物の息子と結婚していたことが、筆者が入手した北朝鮮の政権中枢に近い複数の人物の証言に基づくある極秘資料から明らかになった。

　本稿では、資料の具体的な入手経路や提供者を明かすことはできない。資料の提供者は自身も北朝鮮の中枢部に近く、身に危険が及ぶ可能性があるためである。

　だが、資料の信憑性は極めて高いと判断される。資料には、中枢部に近い関係者でないとわからない日付や時間、人数などが詳しく記されていたからだ。

　資料に事細かに記されていたのは、金正恩を中心とする金一族の近況である。この資料の情報を基に、私がこれまでの取材で入手してきた情報を踏まえて分析すると、知られざるロイヤルファミリーの姿が浮き彫りになった。

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