国語辞典編纂者の飯間浩明さんが“日本語のフシギ”を解き明かしていくコラムです。
【あ】「安全」かつ「安心」 必ずしも理想ではない
7月下旬から2週間あまり続いた東京オリンピック。開催の是非を巡って国論を二分した大イベントも、終わってみれば、何だかあっけない気がします。
コロナ禍の中で何とか開催にこぎ着けようとして関係者が繰り返し使ったのが「安全安心」という文句です。たとえば、菅首相は衆参それぞれの本会議(1月)でこう述べています。
〈東京大会については、安全、安心な大会を実現するため、IOCや各競技団体とも相談しながら……〉
国会会議録で確かめると、首相は2021年になってから6月までに、五輪関連の文脈で「安全安心」または「安心安全」というフレーズを45回使っています。五輪以外も含めると59回。ちょっと連発しすぎではあるまいか。
この「安全安心」は、実は新語です。「安全」も「安心」も古くからあることばですが、四字熟語のように並べて使うようになったのは最近です。
有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。
記事もオンライン番組もすべて見放題
初月300円で今すぐ新規登録!
初回登録は初月300円
月額プラン
1ヶ月更新
1,200円/月
初回登録は初月300円
※2カ月目以降は通常価格で自動更新となります。
年額プラン
10,800円一括払い・1年更新
900円/月
1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き
有料会員になると…
日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事、全オンライン番組が見放題!
- 最新記事が発売前に読める
- 毎月10本配信のオンライン番組が視聴可能
- 編集長による記事解説ニュースレターを配信
- 過去10年6,000本以上の記事アーカイブが読み放題
- 電子版オリジナル記事が読める
source : 文藝春秋 2021年10月号