時代を超えて読み継がれている国民作家、夏目漱石(1867~1916)。漱石の長女を母に、作家の松岡譲を父に持つ半藤末利子氏が、晩年の作品『道草』を軸に論じる。
半藤氏
「好きな文学作品を読んで感想文を提出せよ」。これは私の中学2年の時の夏休みの宿題である。中2ともなればさすがに漱石が私の祖父であることは知っていた。それで漱石の周辺、特に親族のことを知りたいと思い、自伝的小説と言われる『道草』を選んだ。読み始めたら面白くて、通学や食事などで中断される間が惜しかったこと。以後『道草』は私の愛読書となる。
漱石の実兄、姉、姉婿、養父母が次々と登場するが、そろいもそろって善良、純真、勤勉、素朴、清楚とはほど遠い、食わせ者達である。留学を終え将来を約束された身とは言え、まだ彼等より少しだけ給料が高いのを理由にこれらの人々は漱石から金をせしめている。折あらばもっと集りたいと願っている連中である。
夏目漱石
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source : 文藝春秋 2022年1月号