夏目漱石 『道草』と夫婦関係

100周年記念企画「100年の100人」

半藤 末利子 エッセイスト
エンタメ 読書 歴史
時代を超えて読み継がれている国民作家、夏目漱石(1867~1916)。漱石の長女を母に、作家の松岡譲を父に持つ半藤末利子氏が、晩年の作品『道草』を軸に論じる。
半藤末利子
 
半藤氏

「好きな文学作品を読んで感想文を提出せよ」。これは私の中学2年の時の夏休みの宿題である。中2ともなればさすがに漱石が私の祖父であることは知っていた。それで漱石の周辺、特に親族のことを知りたいと思い、自伝的小説と言われる『道草』を選んだ。読み始めたら面白くて、通学や食事などで中断される間が惜しかったこと。以後『道草』は私の愛読書となる。

 漱石の実兄、姉、姉婿、養父母が次々と登場するが、そろいもそろって善良、純真、勤勉、素朴、清楚とはほど遠い、食わせ者達である。留学を終え将来を約束された身とは言え、まだ彼等より少しだけ給料が高いのを理由にこれらの人々は漱石から金をせしめている。折あらばもっとたかりたいと願っている連中である。

夏目漱石
 
夏目漱石

有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。

記事もオンライン番組もすべて見放題
初月300円で今すぐ新規登録!

初回登録は初月300円

月額プラン

1ヶ月更新

1,200円/月

初回登録は初月300円
※2カ月目以降は通常価格で自動更新となります。

年額プラン

10,800円一括払い・1年更新

900円/月

1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き

電子版+雑誌プラン

12,000円一括払い・1年更新

1,000円/月

※1年分一括のお支払いとなります
※トートバッグ付き
雑誌プランについて詳しく見る

有料会員になると…

日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事、全オンライン番組が見放題!

  • 最新記事が発売前に読める
  • 毎月10本配信のオンライン番組が視聴可能
  • 編集長による記事解説ニュースレターを配信
  • 過去10年6,000本以上の記事アーカイブが読み放題
  • 電子版オリジナル記事が読める
有料会員についてもっと詳しく見る

source : 文藝春秋 2022年1月号

genre : エンタメ 読書 歴史