トヨタの“大掃除”、三菱マテリアル品質不正の責任、「百貨店業界の改革者」の正体、シダックス不振の原因

丸の内コンフィデンシャル

ビジネス 企業

★トヨタの“大掃除”

 大掃除――社内ではこうも呼ばれているらしい。トヨタ自動車(豊田章男社長)が、総勢60人を抱えていた相談役や顧問の大掛かりな“リストラ”に踏み切った。元社長・会長で経団連会長なども歴任した奥田碩相談役ら52人との契約を7月1日で一斉に打ち切り、9人にまで圧縮した。企業統治改革の一環とされるが、一部OBからは「章男社長の取り巻きが仕組んだ陰謀」との声も漏れる。

 これまで副社長以上の役員が退任した場合はほぼ自動的に任期4年の相談役として、専務以下は同1〜2年の顧問として処遇する慣行を続けてきた。だが海外投資家らから「相談役や顧問の役割が曖昧で経営の透明性を欠く」といった批判が高まってきたため、昨年10月ルールを変更。任期を1年に短縮、業務の必要性に応じて適任かどうか審査して決める方式に改めた。

 奥田氏らの退任はこの「新ルールに則したもの」(幹部)とされ、社長経験者ではそのほか章男氏の前任の渡辺捷昭顧問も退任。相談役として留まったのは、複数の社外団体の役員を務める張富士夫氏ら2人。顧問は社外の有識者ら6人のみとなった。

 だが「功労者を手厚く遇するのがトヨタの文化」とされてきただけに、OBの間では不満と反発が燻り、その矛先は「トヨタのラスプーチン」(業界関係者)こと小林耕士副社長に向けられている。

 小林氏は部長職を最後に系列のデンソーに転じたが、章男社長との個人的な関係を後ろ盾に2016年顧問として本体に復帰。翌年には相談役に昇格した上、今年1月には異例ともいえる人事で副社長(執行役員)に抜擢された。そして今回、相談役らが大量退任を強いられた一方、本人は新任取締役に選ばれ、おまけに副社長陣で唯一、代表権を与えられるなど大出世した。それゆえ、「企業統治に名を借り、自身にとって煙たい存在の役員OBらの一掃を仕組んだのでは」(顧問経験者)と見られているのだ。

 業界内では、「小林氏による章男社長の独り占め体制がほぼ完成した」とも言われている今回の“大掃除”。今後、同社の経営にどのような影響を与えるのだろうか。

★品質不正の責任は

 昨年子会社の品質データ改竄が起き、今年6月に本体での品質問題も発覚した三菱マテリアル(小野直樹社長)の株主総会が荒れた。出席者によると株主から一連の不正に関する質問が相次ぎ、怒鳴り声が響いたという。本社の関与を糺そうという株主の質問を、議長役の竹内章前社長が遮る一幕もあった。

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source : 文藝春秋 2018年08月号

genre : ビジネス 企業