★2メガの大リストラ
三菱UFJ銀行(三毛兼承頭取)とみずほ銀行(藤原弘治頭取)が、国内営業拠点のスリム化やリストラに乗り出す。日銀の超金融緩和で収益基盤が劣化、フィンテックなどによるキャッシュレス化の波も重なり、かつて「規模の利益」をもたらした巨大店舗網が重荷となってきたためだ。「基礎的な収益力の強化に課題が残っている」。みずほフィナンシャルグループの坂井辰史社長は、こう漏らして苦衷をにじませる。
3大メガバンクの3月期決算で、低迷ぶりが際立ったのが両行だ。三菱UFJは実質業務純益が前年同期比16.9%減。利益水準は5543億円と三井住友銀行(髙島誠頭取)に600億円超の差をつけられた。みずほは同34.7%減の2964億円。三井住友の半分以下の水準に沈む。
国内の総資金利ザヤは三菱UFJもみずほもマイナス。つまり“逆ザヤ”だ。貸せば貸すだけ損失が膨らむ、負のスパイラル構造。貸出金利を上げられる環境下になく、預金金利の引き下げ余地もほぼ尽きた以上、脱却するには物件費や人件費などの経費に切り込むしかない。
三菱UFJは今後3年間で、来店客数が相当数減少している店舗や同一エリア内の重複出店店舗など90店弱を統廃合で減らす。同時に窓口で行員が接客する従来型の有人店舗を、テレビ電話などによるセルフ型の店舗に順次切り替える形で、2023年度までに現行516店から半減させる。セルフ型店は、今秋都内で試行を開始する計画だ。ロボティック・プロセス・オートメーションと呼ばれるソフトを活用した業務効率化などと合わせ、9500人の人員削減につなげる。
一方、みずほは開発中の新勘定系システムの稼働をにらみつつ2024年度までにいまの約500拠点体制を400拠点体制に圧縮。自然減や採用抑制なども絡め、2026年度までに、グループ人員7万9000人のうち1万9000人をカットする方針だ。
銀行はこれまで規模の利益が働きやすい「装置産業」とも言われてきた。合併・再編を繰り返して巨大化を追求してきたゆえんだが、いま大きく方向転換を迫られている。
★“古森天皇”の責任は
富士フイルムホールディングス(古森重隆会長兼CEO)が開いた、2018年3月期の決算発表会見は、質問が決算の内容ではなく、米ゼロックスの買収に集中した。
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source : 文藝春秋 2018年07月号