文藝春秋digitalのオンライン対談イベント「菅野(山尾)志桜里×三浦瑠麗 弱体化する日本政治の難点 中国外交、皇位継承、クオータ制…」が、2022年2月1日に開催されました。
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この日の出演者は、元衆議院議員である菅野志桜里さんと、国際政治学者の三浦瑠麗さん。対談冒頭では三浦さんが「そもそも日中の外交とか安全保障とかについて、女性2人で話すのは日本ではほとんどみられない現象ですよね」と発言。日本の外交政策、皇位継承問題、女性議員の進出などのテーマについて、貴重な議論が交わされました。
菅野さんは、「人権外交」を含む日本の外交について「(西欧的ではない)独自の表現をするのがよいと思っている」「人権というワーディングを前面に押し出す欧米に対して、アジアの側からもう少し違う説得の仕方があると思っている。それは、『人道』という言葉なのか、それとも『徳の政治』という言葉なのかわからないけれど、欧米的価値観ではない説得の仕方、表現の仕方は、おそらく(アジアの中で)日本にしかできない」と語りました。
三浦さんからはそれに対して「我々は欧米を否定するとか、何かへの否定という形でしか言えていないんじゃないか。『アジア的相対主義』を超えるものを我々は持っているのでしょうか?」という視点が提示されました。三浦さん自身がそのことを考えると「歯がゆい思い」がすると語り、問題提起の重要性とハードルの高さを示唆しました。そのうえで、三浦さんは次のようにも語りました。
「例えば『イラク戦争はダブスタじゃないか、あれはおかしいだろう』と言うことはできる。でもそうすると、ロシアの“Whataboutism”(※編集部註「そっちこそどうなんだ論法」)みたいに『お前らだって侵略戦争をやっていたじゃん。なんで俺がやっちゃいけないんだよ』と返されてしまう。
カンボジアの紛争で日本は、北ベトナムの影響がかかった政府を権力の中枢に据える和平構築をすることでカンボジアの安定に貢献したと思います。当時のアメリカはこれに相当反発しましたが、日本は勝った側を応援した。でもそれは負けた側を殺戮することには断固として反対したということです。それ以上の何ができるのか」
また、女性の社会進出について三浦さんは次のように発言しました。
「女性の社会進出が『私が輝く』になってしまったらお終いなんです。サッチャーの時代までならそれでもよかった。中産階級の娘が首相になるということ自体が画期的だった。90年代以降はもう同じではないと思う。でも日本の女性議員を見ると、『私だって女性なのだから支持されるべきでしょう?』という感じになってしまってる場合がある。『女性だから』というだけで応援していたら、それこそ女性差別になってしまうと私は思います」
女性議員の話題について、菅野さんは「自分を変えることはできるけど、男性社会を変えることは難しい。だから私自身は自分を変えようと思って、自分なりに質問スタイルやテーマを意識的に変えていくよう努力してきました」と言います。
そして、「女性問題以外の政策、例えば外交でも経済でも憲法でも、そういう骨太な政策に自分から逃げずに飛び込んでいきましょうと私は思っています」とも話されました。
2人の議論は日本の国家観にも関わるような、骨太な政策にも及びました。そうした議論が公開の場で行われることは、日本の政策や諸問題を考える上で、私たちにとっても深い意義がある。この日の対談は、そうした実感をもたらしてくれるものでした。
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