安全な船旅を再び
私は、北海道知床半島の付け根にある町に住んでいる。4月23日に知床半島西海岸のカシュニの滝近くで観光遊覧船が沈没し、2カ月がたった。乗員乗客26名のうち14名が死亡し、12名がいまだ行方不明となっている。
沈没したカズワンは、瀬戸内海を運航していた船舶を改造したものだった。そのうえ、自然条件の厳しい中を、従来から勤務していたベテランの船長や乗組員を全て解雇し素人同然の船長に任せた。さらには運航時の管理者不在など、運航会社の数多の違反が国土交通省の監査で明らかになった。
私は2012年4月30日に、家族で羅臼町の鯨ウオッチング船に乗船した。今回の事故が発生した斜里町ウトロの対岸にあたる。そのときは、乗組員、そして船長さんの慎重な運航と安全への気配りのおかげで、知床の海のすばらしさを堪能した。
観光遊覧船の安全な運航には、運営会社の審査と許可後の的確な巡視、そして気候を常に注視したうえでの運航が求められる。
この度の事故原因の究明と犠牲者への哀悼は決して忘れてはならない。
「知床旅情」は、私にとって忘れられないふるさとの歌である。
全国の旅人が笑顔で乗船し、知床旅情を満喫できる船旅を取り戻さなければならない。
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source : 文藝春秋 2022年8月号