月刊「文藝春秋」では、「戦争と希望」をテーマに、直木賞作家・今村翔吾さんにインタビューを行いました(聞き手・新谷学編集長、3月30日収録)。
《インタビュー動画はこの記事の最下部にあります》
「戦争をしているのは『人』なのだと改めて感じました」
最新刊『幸村を討て』を含めて、さまざまな「戦」を書いて来られた今村さんへのインタビューは、激化するロシアのウクライナ侵攻の話題からスタートしました。
情報戦の歴史
「ウクライナの人々の、故郷やそこに住む家族、友だち、恋人を思う熱情はとても侮れるものではなかった。愛国心という情緒的な話ではなく、その思いゆえの最後の粘りや一歩踏み出す力というものが、現代においても、ここまで戦局に影響するのかと本当に驚いた」
「真田(幸村)軍も“草の者”と呼ばれる『忍び』、今で言うたら諜報活動をするスパイを用いて積極的に情報操作やイメージ操作を行います。現代の戦争と重なる部分はあるなと。僕はもともと、現代の事象に着想を得て、『逆に歴史小説で表現できるのではないか?』と考えるんです。約2千人の真田軍に対し、徳川軍は4倍もの兵力を持ちます。多勢に無勢の真田軍であるものの、たとえ兵力では劣っても、情報を使った“演出”によってその差を埋めることはできる」
「ゼレンスキー大統領もイメージ戦略に長じていますが、幸村もそうでした。本名は信繁ですが、真田幸村といえば、家康に果敢に挑んだ『日の本一の兵』として語り継がれる英雄です。『世間一般的には、幸村と知られている』とかって付け加えたくなるようなカリスマ的なイメージの“刷り込み“があるんです」
「人が争うのはなぜか、どうして争いが始まるのか。戦争を止める術は、二度と繰り返さない道は……答えは出ないけれど、そこに挑み続けたい。そして、戦の中でこそ光る、希望を書きたいと思っている」
数々の歴史・時代小説を世に送り出してきた作家ならではの視点で見る、現代の戦争と希望とは。話は大いに盛り上がり、最後には、人生経験豊富な今村さんを前に、悩める女性編集部員からの人生相談までが始まって……。ぜひご覧ください。
《この下にインタビュー動画が表示されます》
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source : 文藝春秋