臨床が不得意で、東大OBの教授は激減している
年明けから本格的に大学受験シーズンに入る。今年も、多くの受験エリートたちが医学部に挑むだろう。
その中でも最難関とされるのが、東京大学の医学部に進学するコースである東大理科Ⅲ類(理Ⅲ)だ。日本全国の医学部の定員を合わせると約9400人(2017年度)だが、理Ⅲは毎年わずか100人ほどしか合格できない狭き門で、すべての大学、学部の中で偏差値トップを誇る。
灘、開成、筑波大学附属駒場、桜蔭といった超進学校の中でも、成績トップクラスの英才たちが競って挑む受験界の頂だ。
東大医学部を卒業したと聞けば、誰もが超エリート医師だと思うだろう。理Ⅲに合格した本人たちも、将来は医学部の教授や有名病院の要職を務めたり、ノーベル賞級の研究者として活躍したりする姿を漠然とでも夢見るに違いない。だが、理Ⅲに入ったからといって、そのような将来が約束されていると期待し過ぎないほうがいいかもしれない。
というのも、最近、都内の私立大学医学部教授(外科系)を務める東大医学部OBから、こんな話を聞いたからだ。
「ここ数年、東大OBが他大学の医学部の教授選で相次いで敗れている。私の専門分野でも、東大OBの医学部教授は、私くらいしか残っていない。このことに、我々東大OBは強い危機感を覚え始めている」
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source : 文藝春秋 2017年12月号