党大会目前 習近平に疲れが見えてきた

富坂 聰 拓殖大学海外事情研究所教授
ライフ 政治 国際 中国

後継候補が突然失脚。中南海で何が起きているのか

習近平氏 ©時事通信

 7月14日、孫政才重慶市党委員会(党委)書記は北京国際空港のVIPルームに現れた。この日、出席予定の中国全国金融工作会議のためだった。しかし、VIPルームで彼を待っていたのは出迎えの秘書ではなく、中央規律検査委員会のメンバーであった――。

 時を同じくして国内のメディアは、彼が重慶市党委書記に再任されなかった事実を報じている。記事はどれもベタ記事で、CCTV(中国中央テレビ)などは写真もなく、ただアナウンサーが言葉で数十秒間伝えただけであった。それらは、中国メディアが政治の敏感な問題に触れるときの常套手段として「抑制のきいた」報道であったが、ニュースが社会に与えたインパクトは計り知れない。

 とくに中南海周辺には激震が走った。この重大なイレギュラーは、嵐の前兆なのか、それとも嵐の結果なのか……。いずれにせよ今秋、5年に一度北京で開催される中国共産党の最高機関、「中国共産党第十九回全国代表大会」(以下、十九大)を前に「政治の季節」に突入したことを疑う理由はない。

 習近平・李克強体制の後継候補だと誰もが信じて疑わなかった孫政才。その期待の星が一夜にして落馬した。しかも十九大が目前のタイミングだった。まさに中国政治の非情さの体現だった。

 昨夏の北戴河会議以来、孫を次世代のナンバーツーとすることは既定路線と考えられていた。

 私は2012年10月、拙著『チャイニーズ・パズル』の中で、気の早い話だが“ポスト習近平・李克強”の候補として、胡春華広東省党委書記と孫政才の2人の名を挙げた。

有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。

記事もオンライン番組もすべて見放題
初月300円で今すぐ新規登録!

初回登録は初月300円

月額プラン

1ヶ月更新

1,200円/月

初回登録は初月300円
※2カ月目以降は通常価格で自動更新となります。

年額プラン

10,800円一括払い・1年更新

900円/月

1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き

電子版+雑誌プラン

12,000円一括払い・1年更新

1,000円/月

※1年分一括のお支払いとなります
※トートバッグ付き
雑誌プランについて詳しく見る

有料会員になると…

日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事、全オンライン番組が見放題!

  • 最新記事が発売前に読める
  • 毎月10本配信のオンライン番組が視聴可能
  • 編集長による記事解説ニュースレターを配信
  • 過去10年6,000本以上の記事アーカイブが読み放題
  • 電子版オリジナル記事が読める
有料会員についてもっと詳しく見る

source : 文藝春秋 2017年09月号

genre : ライフ 政治 国際 中国