深層ドキュメント 東芝「倒産」までのシナリオ

大西 康之 ジャーナリスト
ビジネス 企業

技術と雇用を守る唯一の方法は法的整理だ

東芝ビル ©文藝春秋

 東芝危機は、もはや一企業の問題でも、日本国内の問題でもない。

 4月18日に日米経済対話で訪日し、経済産業相の世耕弘成と会談した米トランプ政権の商務長官、ウィルバー・ロスは東芝問題に言及し、世耕にこう釘を刺した。

「(東芝の米原子力子会社)ウエスチングハウス(WH)の雇用の継続に全力を尽くしてもらいたい」

 日米の閣僚会談で一企業の経営危機が話題に上るのは異例のこと。トランプ政権は2018年の日米原子力協定改定をにらみ、日本側に圧力をかけている。ロスのメッセージはシンプルだ。

「東芝がWHから逃げることは許さない」

 会談に先立つ3月29日、WHは米連邦破産法第11章(チャプター・イレブン)の適用を申請し、事実上、倒産した。負債総額は98億1100万ドル(約1兆円)。これにより、東芝の2017年3月期連結決算は1兆100億円の最終赤字になる見通しだ(監査法人が同意意見を出していないため、あくまで東芝による「見通し」)。

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source : 文藝春秋 2017年07月号

genre : ビジネス 企業