米露中「大国の掟」を見極めよ

大特集 この国とはこう付き合え

佐藤 優 作家・元外務省主任分析官
ニュース 政治 国際 中国 ロシア

新・帝国主義の時代──国民国家の逆襲が始まる

佐藤優氏 ©文藝春秋

「アメリカを再び偉大な国にする」と叫び続けたドナルド・トランプが2017年1月、アメリカ大統領に就任します。選挙期間中から「TPPには参加しない」「イスラム教徒は入国させない」などの過激な発言に、世界の国々は振り回され続けてきました。

 多くの国がトランプ政権の行く末に不安を抱く中、ロシアや中国、さらにはイランといった国がすでにトランプ大統領の誕生を歓迎しています。それは彼らがトランプ政権誕生の意味を正確に察知しているからにほかなりません。

 これまでアメリカは「世界の警察官」として、ロシアや中国のやり方に何かと口出しをしてきました。そのアメリカが「世界の警察官をやめる」と言い出した。それはロシアや中国にとって極めて都合がよい話です。

 言い換えれば、世界は無警察状態になり、遠からず国家が欲望を剥き出しに動く時代がやってくる。戦後つくられた国際的な協調体制は寸断されていきます。

 いまから120年ほど前、世界は似たような状況にありました。強国がそれぞれ勢力拡大をめざし、周辺の弱小国やアジア・アフリカの民族を侵略した帝国主義の時代です。トランプ以後の世界は、その帝国主義の時代に似てくる。言うなれば「新・帝国主義」がやって来るのです。

 オバマ大統領は、2008年の大統領選挙で「チェンジ(変革)」を訴えて当選しましたが、彼がやろうとしたことは従来どおりアメリカの理念を世界に押し付けるやり方でした。本当の「チェンジ」は、トランプ大統領の誕生によって始まる。そしてそのチェンジはおそらく悪い方へのチェンジとなる。国家(ネーション)の逆襲がはじまるのです。

有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。

記事もオンライン番組もすべて見放題
初月300円で今すぐ新規登録!

初回登録は初月300円

月額プラン

1ヶ月更新

1,200円/月

初回登録は初月300円
※2カ月目以降は通常価格で自動更新となります。

年額プラン

10,800円一括払い・1年更新

900円/月

1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き

電子版+雑誌プラン

12,000円一括払い・1年更新

1,000円/月

※1年分一括のお支払いとなります
※トートバッグ付き
雑誌プランについて詳しく見る

有料会員になると…

日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事、全オンライン番組が見放題!

  • 最新記事が発売前に読める
  • 毎月10本配信のオンライン番組が視聴可能
  • 編集長による記事解説ニュースレターを配信
  • 過去10年6,000本以上の記事アーカイブが読み放題
  • 電子版オリジナル記事が読める
有料会員についてもっと詳しく見る

source : 文藝春秋 2017年01月号

genre : ニュース 政治 国際 中国 ロシア